本日は甲府市湯村の塩澤寺でご奉仕 

寒い日が続きます。
研究室ある甲府はほとんど雪は積もらないのですが、大雪でご苦労されている地方の方々にはお見舞い申し上げます。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 3000m峰は雲の中です。
20180213風景

研究室の庵主は、1月末からいろいろと忙しく、ながらくまとまった更新ができていません。
たまに更新しないと公告が上がってい来るので、簡単な記事で更新させてもらいます。

忙しいと言いながら、今日は地域貢献のため、甲府市湯村にある 塩澤寺 の「 厄除地蔵尊大祭 」に半日ご奉仕に出ます。

塩澤寺ウエブサイトによる紹介はコチラ↓ 最近新しくなったようです。
http://www.entakuji.jp/taisai.html

去年までは2日間のご奉仕だったのですが、今年は忙しいということで1日だけのご奉仕になります。
このお祭りが過ぎると甲府にも春が訪れるそうです。


Posted on 2018/02/13 Tue. 08:47 [edit]

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甲信御岳参詣道の復活⑭-オオカミ伝承(その9) 

先週末に大学入試センター試験も終わりました。研究室庵主は非番になったのですが、そのお返しかそのころから今一つ、体力摩耗状態です。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 気温は上がる予報ですが、どう変化するか。
20180118風景

北巨摩郡教育会『口碑伝説集』のオオカミ伝承(後編)
これまで2回にわたってメモしてきた『口碑伝説集』も最後になります。

[西5‐10‐1]棒道のおくり犬三種1
  明治の初年頃小池忠衛門は中馬おひ(馬方)を業として、谷戸村(大泉村)と信州上諏訪を往来してゐた。春は主として食塩(鰍沢から韮崎を経て来たもの)を、夏から冬にかけては綿、さつま薯、生姜、魚類等を馬の背をかりて諏訪へ運び、諏訪からは春は播大豆、味噌大豆を、秋から冬へかけて米を(松本、伊那等の産)甲州へ運んだ。
  この中馬追いには、本業とするものと、農業の余暇にするものとの差はあるが、ほとんど村内全部のやうにこれをやつたものだ。いずれも馬二、三頭をもち、小泉村小荒間から立沢を経て上諏訪に至る棒道を、雨の日といはず、風の日といはず、通つたものである。
  或る日忠衛門は何時ものやうに米をつけて、上諏訪からの帰途立沢まで来ると、秋の日は、とつぷりくれてしまつた。花戸原にさしかかると名物の送り犬につかれた。賽の河原も淋しく過ぎて小荒間の人家が近くなつたから安心して後ろを見たら犬はいなかつた。小荒間の村屋を出はずれたら、又山犬がついて来た。谷戸村大芦の入口鳩川の橋のたもとで「ごくろうよう」といつたら、犬は姿をかくした。このおくり犬は、人がころぶと噛みつくといふので、中馬追いは夜道となると非常に用心深く歩いたものだ。又腰には沓切りといって小さい鎌を忘れなかった。
  これは護身用と共に、燧石を失つた時にこれで火を起こすのである。火を見ると山犬はすぐに逃げたさうだ。(平井清寿)95-30

  ※谷戸村:現在の北杜市大泉町谷戸  ※立沢:現在の長野県諏訪郡富士見町の一部

[西5‐10‐2]棒道のおくり犬三種2
  明治二、三年頃商用で上諏訪へ行つた帰りの瀬戸左一郎は立沢まで来ると、後ろから急いで来た井出清助と道連れになつた。二人は道連れが出来たのを喜びながら、花戸ケ原にさしかかつた時、左一郎は松の大枝をかついで清助にもかつぐことをすすめた。
  小深沢までくると、例のおくり犬が闇から眼を光らして二人をおくつた。両人は早速沓切鎌で石を打ち火を起こして、先に用意してきた松の大枝を燃し始めた。するとおくり犬は何処かへ姿をかくしてしまつたといふことである。(平井清寿)95-30


[西5‐10‐3]棒道のおくり犬三種3
中島幸左衛門が、やはり花戸原の中程まで来ると、一匹のおくり犬が中馬追いの姿を見ると、道のまん中までのそのそと出て来て、懇願するやうに幾度か頭をさげる風情をして大きく口を開いた。度胸のよい幸左衛門が犬の口の中をのぞいて見ると小さな骨が、口の奥に刺さつていたので手を入れてそれを取つてやつた。すると、その犬は非常に喜んで尾を振り頭を下げて森深くへ立去つた。
  幾日かの後に中馬追いの幸左衛門が花戸原にさしかかると、前に助けてやつた犬が出て来て、彼の袂の端をくはへて引つ張るので犬のなすままに道の小脇の薮のかげまで行つた。しばらくすると闇の中からざはざはすばらしい物音がきこえた。気味わるく思つて耳をそばだて、薮のかげからすかしてみると、それは狼の大群が過ぎ行くのであつた。この大群に出会つたらそれこそ命はあぶないのである。幸左衛門は「畜生でも恩をおぼえてゐたか」と独言をいつた。狼の大群が行過ぎてしまふと、その犬はくはへてゐた袂の端をはなした。(平井清寿)95‐30



Posted on 2018/01/18 Thu. 12:55 [edit]

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甲信御岳参詣道の復活⑬-オオカミ伝承(その8) 

いよいよ今週末は大学入試センター試験が実施されます。寒波が襲来しているので心配ではあるのですが、研究室のある甲府は雪予報がなく、何よりです。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ お山の上は荒れ気味なのかしら。 
20180110風景

法律に関連するブログ記事を最近書いていないなぁと本人は気づいているものの、興味はどうしても法律以外の分野--たとえば、霊獣としてのオオカミ--にあるので、引き続きオオカミ伝承のメモをしてゆきたいと思います。

北巨摩郡教育会『口碑伝説集』のオオカミ伝承(中編)
1935年(昭和10年)に出版の『口碑伝説集』から引き続きオオカミ伝承を拾います。

[西5‐8‐1]送り犬
  安都玉村原長沢の輿水某が、昔南佐久郡川上村から二匹馬を引いて夜道をかへつて来た。国界辺から送り犬についてこられてこまつた。その中に山犬がだんだん増して何十匹かわからん程たくさんになつた。
その夜は旧暦八月十五夜で空は晴れてゐた。月の光に透かしてみると、だんだん山犬がふえてくる。そうしてくべいをかいて(狗吠をかく、山犬の吠えること)友犬を呼びながら後をついてくる。
  この時川俣川の川下から夜網を打ちながら上つて来た、輿水某があつた。此の男の囲りにも山犬がたくさん集つた。山犬は川岸に集つてくべいをかく、此の男も逃げも出来ずこはごは網を打ってゐた。網を打てば山犬が少し後へ下る。網を引けばついてくる。あまりのこはさ遂々網を棄てて、今の栗木沢の道を上つて来た。さうして「オーイ、オーイ」と大声に叫びながら、だんだん上つて来た。丁度そこへ何十匹かの山犬につかれてふるへ乍ら歩いて来た輿水某が来た。これも人声をきいて生き返つた心地で返事をした。二人はやつと元気づいて栗木沢を下つて川俣川の西に出た。川西へくると山犬はいつとなく離れてしまつたといふことである。(浅川耕三-輿水友吉)92‐27

  ※安都玉村原長沢=現在の北杜市高根町長沢の一部

[西5‐8‐2]送り犬2
  これも原長沢の輿水某が六十年位前に馬方をして川上へ通つたことがある。念場原へかかると山犬がついてきてこまつた。仔馬程もあるのが五、六匹もついてきた。馬も驚いて中々進まない。仕方ないから路傍の枯草に火をつけてどんどん燃すと山犬が後へ下る。少し来ると又ついてくる。又火を燃すと犬は後にさがる、かうして路の枯草に火をつけ乍らやつと家へかへりついたさうである。(浅川耕三-藤森幸太郎)93‐27

  ※念場原=現在の北杜市高根町清里の一部

[西5‐8‐3]送り犬3
  四十位年前の旧暦七月一日の朝、暗いうちに二駄朝草(馬二頭をひいて朝草刈りに行く)に行つた。あまり早かつたものだから眠くてしかたがなかつた。鞍の上で居眠りをしてゐた、しばらく行くと馬が口先で馬方の足を突き上げるやうなことをする。始めは気にもとめなかつたが何回もするので変に思つて鞍の上に起きなほつて、あたりを見た。すると馬の後ろにとても大きい山犬が二匹、馬のあとをついてくる。それが時々駆けよつては後の馬の尻尾の毛をくはえて引張る。そのたびに馬が首を上げて馬方の足をおし上げたのだとわかつた。そこで弱りきつた馬方はなんとかして山犬を追つぱらわねばならないと思ひ、山犬は火を怖がるときいてゐたから、兎に角煙草を一服つけようと「チヤキン、チヤキン」と火を切つて煙草を吸ひ始めた。いくら火をみせても山犬はにげない、しかたがないから煙管に山のやうに煙草をつめて火をつけた。さうして遠くからもこれが見えるやうにしたが、やつぱり山犬は相変らずついてくる。さうして時々馬の尾を引張る。仕方がないから火のついた煙草のほくを払つて、それを指先で摺りつぶすやうにして山犬の方になげた。ほくは花火のやうに山犬の鼻面へ散つた。それに驚いて山犬もやつと逃げたと。(浅川耕三-輿水友吉)92‐27


[西5‐9]山犬のおぼこ見
  昔は山犬が仔を生むと、山犬のおぼこ見といつて村中各家から米を寄せて名主方に持ち寄り、名主が切火で赤飯をふかし、新らしい桟俵の上にそのままあげて、山犬の巣の入口においた。犬の巣の入口には青竹を高く立て注連をはつた。その時の赤飯は必ず大枡一升とし、誰も外のものは手をつけない。もし大枡一升が少しでもかけると山犬が里へ出て悪るさをすると。(浅川耕三-浅川ゆくの)94‐29



Posted on 2018/01/11 Thu. 14:28 [edit]

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甲府ねこ(重複御免)―通番32号 

明日は晴れ予報だけど、顔を洗っているんだニャ。
生まれる子供の里親さんを募集しているニャ~。

ノラ32号

ちなみに、里親さん募集の張り紙は、滝上にある「 仙人茶屋 」さんにあります。里親になれない身としては、詳しいことは聞けていません・・・
仙人茶屋さんにはウエブサイトもないようなので、観光協会さんの案内URLを載せておきます(リンクなし)。

https://www.shosenkyo-kankoukyokai.com/spot/%E4%BB%99%E4%BA%BA%E8%8C%B6%E5%B1%8B/


Posted on 2018/01/06 Sat. 20:27 [edit]

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2018年 新年のご挨拶 

新年明けましておめでとうございます。

寒の入りの暦通り、寒い日となりました。本日から2018年の甲府での業務を始めます。
来週末はいよいよ大学入試センター試験があり、国立大学の入試シーズンになりました。春まで何かとバタバタとしそうですが、宜しくご指導のほど賜りたいと思います。

今年最初の南アルプスの風景はコチラ↓ 思ったほどは積雪がみられません。
20180105風景


Posted on 2018/01/05 Fri. 10:11 [edit]

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甲信御岳参詣道の復活⑫-オオカミ伝承(その7) 

クリスマスを迎え例年なら実家に帰省している頃なのですが、今年は日並びがいまひとつのため、まだ甲府で後片付け中です。
甲府での年内業務は明日26日までを予定しており、新年は5日からの予定です。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 年内最後の投稿です。
20171225風景

北巨摩郡教育会『口碑伝説集』のオオカミ伝承(前編)
今日は1935年(昭和10年)に発行された北巨摩郡教育会『口碑伝説集』郷土研究2輯1冊に掲載されたオオカミ伝承をメモしておきたいと思います。旧の北巨摩郡域は現在の北杜市韮崎市甲斐市になっています。参詣道との比較からは、専ら西口方面となります(このメモでも西口に分類)。
この『口碑伝説集』掲載の伝承は、市町村誌にも転載されていることも多く、2~3回に分けて、まとめて記録しておきたいと思います。

[西5‐1]山犬
  今七、八十位の老人の子供の頃は八ヶ岳山麓から山麓の里にかけて大層山犬が棲んでゐたさうである。山犬が子供を産むと頻りに食をあさりに里に近づいて来て、里犬や猫などを捕へ、また夜通行人には送り犬がつき、里犬は夕方からは外へ出ず縁の下などでふるへてゐた。その頃は夜暗くなると里近い山や林で山犬の唸り声が聞こえて物凄かつたさうだ。さういふ時はその部落の長から布令を出し、適宜に近所四、五軒位が寄り合つて赤飯を炊き魚類を添へて、八ヶ岳山麓のごつとといふ石の沢山ある所へおぼこみに行き、御馳走を上げて来たといふ。それ程当時は山犬を山の神として恐れてゐたものである。(井出正武)90‐9-21


[西5‐2]山犬のおとし穴
  昔くろ沢には山犬がたくさんゐた。夕方になると家の近くでうなつてこまつた。これを退治するために深い穴をほつてその中に馬骨などを入れて上を小枝などで覆つて、山犬を陥しいれたものだ。(村山西校-深沢)91‐22

  ※くろ沢=現在の北杜市高根町と同市長坂町との間の沢筋のことか

[西5‐3]山犬
  昔熱見村赤羽根(地名)のあるおぢいさんが、諏訪からの帰り棒道を通つたことがある。
夕方になつてあたりが夕やみにつつまれると、何処からともなくたくさんの山犬が出て来て、おぢいさんの後となり先となりてつきまとつた。その中に山犬が後ろから駈けて来て高跳をするやうに、おぢいさんの頭の上をとび越へた。
  それは山犬がおぢいさんのちょんまげに爪を引かけて引倒すつもりらしい。倒れるとそのすきに山犬がとびつくといふことを知つてゐたから、おぢいさんは山犬の爪をまげへ引かけられては大変だ。そこでおぢいさんはまげを解いて髪をふりみだして。やつと西之割まで帰つて来たと云ふことである。(村山西校)91‐23

  ※熱見村赤羽根=現在の北杜市高根町村山西割赤羽根

[西5‐4]山犬2
  又秋の彼岸頃になつて奥山に草刈に行くと、大概の日におくり犬といつて、山犬が後からついて来たものだ。おくり犬は人が倒れると飛びつくものだから、もしつまづいて倒れる時にも必ず「どつこいしょ」と声をかけるものだと。
  又おくり犬は、村の近くに来ると「ありがたうやう」といへば、いつとなくはなれて仕舞つたといふことである。又山犬がついて来ても煙草の火を見せれば、逃げて仕舞ふと云ふことである。(村山西校)91‐23


[西5‐5]山犬
  安都那村箕輪新町の北の原には昔、山犬がたくさんゐて晩方になると人の後を附いてきてこまつた。山犬はだまつてこそこそついてくる。これを送り犬といつてゐた。今から五〇年位前原長沢の輿水左五衛門が新町から帰りに送り犬がついてきた、旭山の東まで来ると犬がだんだん近づいてきたから、後へ向いて「バカ犬メ、オボエテヰロ」といついてどなつたら送り犬がはなれた。(浅川耕三-藤森幸太郎)92‐24

  ※安都那村箕輪新町=現在の北杜市高根町箕輪新町

[西5‐6]津金山の山犬
  六十年位前には津金山には山犬がずいぶんゐたものだ。秋の彼岸過ぎになると津金山から山犬が旭山に渡つたものだ。斑山の北から旭山まで一列に続いたのを見たことが何度もあつた。(浅川耕三)92‐25

  ※津金山、斑山=現在の北杜市須玉の山か ※旭山=現在の北杜市高根町の山か

[西5‐7]犬道
  安都玉村長沢の北、海田のおくに山犬の通った犬道があった。今のその道が残っている。
今から六十年位前、原長沢の輿水某が馬屋の後の土台の下へ山犬が穴をあけて、馬屋の仔馬を引き出して何処かへ喰はへて行った。(浅川耕三-藤森幸太郎)92‐26

  ※安都玉村長沢=現在の北杜市高根町長沢の一部

Posted on 2017/12/25 Mon. 10:25 [edit]

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甲信御岳参詣道の復活⑪-オオカミ伝承(その6) 

大学の講義もあと1週間になりました。
研究室の庵主も企業の勤め人時代に比べて忘年会は減りましたが、それでもいくつか入って疲れ気味です。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 積雪の範囲が少しづつ広がっているようです。
20171215風景

金峰山西口方面の続・オオカミ伝承
現在の北杜市でも大泉町や高根町は金峰山の参詣道には直接関係はないようです。これらの町域も、西口の隣接地ということで引き続いて伝承を取り上げてゆきたいと思います。

●長坂町誌編纂委員会『長坂町誌 下巻』(長坂町、1990)

[西2-1]
  棺を穴に埋めてしまった後、旗・ちょうちん・幟などをつけてきた竹を弓なりに曲げて盛り土の上に刺しておく。これはメッパジキともいいオオカミが来て土を掘り返そうとしても弾いて追い返してしまうようにとの解釈が加えられているが、これも鎮魂の呪いのひとつと考えてよさそうである。今日では墓場が乱れてしまうということで、竹を刺した後はひとまとめにして上部で縛ってしまう。また盛り土の上には石を置いて目印にするというが、これまた鎮魂の呪いである。868



●高根町『高根町誌 通史編 下巻』(高根町、1989)

[西3‐3]山の神の石祠
  東井出集落の上から原長沢を通って、窪長沢で佐久還往に合流する古い道を誰いうことなく三峰街道と呼んでいる。秩父の三峰神社へ代参の人がお参りのために行く道である。三峰参りだけでなく多くの巡礼もこの道を通ったことだろう。
  この道沿いで、船形神社の西の林に、一つの石祠が建立されている。これはつぎのようなことが伝承されている。ある年の秋、白倉某氏の先祖の翁が長沢よりの帰り道、この付近で“やまいぬ”もおそわれた。その後、村民の危害よけに“やまいぬ”を祀ったのだという。以後この道には“やまいぬ”の危害はないといわれている。(植松清秋)918


[西3‐7]山犬のお礼
  大正の初期、六十歳をこえたわが家の祖母から何度も聞いた子守唄代わりの昔話です。
  秋も深くなって、どこの家でも木の葉掃きに精出していたころだったということです。ある朝、おばあさんが雨戸をがたがたとあけると、えんさ(縁側)に大きな山犬がすわっていた。「おっかねえよー」といって家の中へ倒れるようにとび込んだ。しばらく息を整えておそるおそる破れ障子の穴からのぞいて見ると、まださっきのところにすわっている。こまったようと思いながらよく見ると大きな口を開いたままでなんだか涙を流しているようだった。
  おばあさんは『こりゃあ、のどに何かつっかけているな』と思った。障子をあけて山犬のそばに行くと、山犬はしっぽをえんさの板の上で横に振ったので、気をしずめて恐る恐る口の中をのぞいて見ると、大きな白い骨が見えた。おばあさんはこれを取ってもらいたくて家へ来たのだなと思って、「骨を取ってやるからくっつくじゃあねえぞ」といって袖をまくり山犬ののどへ手を入れて骨をとって「ほれーこれをつっかけただぞ。さあ山へけえれ、悪いことをするじゃあねえぞ」とその骨を庭の遠くへ投げ捨てた。
  山犬はしっぽを振って振り返りながら庭を出て行った。おばあさんは、大きな息を肩でして、ぶるぶるっとして家の中へはいったということです。つぎの日の朝、おばあさんが雨戸をあけて見ると、えんさにきれいな大きなきじが一羽置いてあったそうです。(下倉兵文)922


[西3‐8]狼よけ
  昔は狼が多く住んでいたらしい。旅の者も集落の人たちの仕事の帰り、お使いの帰りなどにはずいぶん苦しめられたとのことである。そこで今日は帰りが遅くなる予定の時は、狼の頭がい骨を持って出掛けて狼よけにしたものだと、老人が教えてくれたのをおぼえている。(中島武二)922



Posted on 2017/12/15 Fri. 10:30 [edit]

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