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家族法メモ-犬神佐兵衛翁の遺言(3完)  

ゴールデンウイークをはさんだりして、更新が滞っておりました。
土曜日になって少し時間の余裕ができたので、更新しておきたいと思います。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 3000メートル級の山頂はまだ冠雪しています。
20180512風景

さて、間があいてしまいましたが、犬神佐兵衛翁の遺言について、最後の問題点をメモっておきたいとおもいます。

ポイントは、事件の設定が昭和20年代前半(1940年代後半)に設定されていることにあります。
家族法に関して言うと、この時期は戦前までの旧制度から日本国憲法下の現行制度への改正時期にあたり、どちらの法律が適用されるかが問題となります。

ところで、映画版では 昭和22年2月(1947年)から10月 にかけてと考えられる描写があります。これに対して、原作では、犬神佐兵衛翁の死亡、すなわち相続総則開始時期は「 昭和二十×年二月 」 とされていて、年が伏字になっています。一方、探偵小説には多くの研究家がいるのですが、金田一耕助についても例外ではありません。それらの書籍の一部やウエブサイトで公表されている成果をみると、この事件は 昭和24年(1949年)説が有力 のようです。

この有力説に立つと、佐兵衛翁の死亡時には現行の家族法が施行されていて、家督相続制度などは廃止されていることになります。そうすると、佐兵衛翁の遺産の法定相続人は、下図のとおりです。

犬神相続関係図

松子・竹子・梅子は佐兵衛翁と親子関係があり(原作に明記されていないが、認知がされていると思われる)、法定相続人となります。また、竹子の夫寅之助と梅子の夫幸吉は婿養子(民法旧839条但書)であるされており、佐兵衛翁の嫡出子として身分を取得し(民法887条、民法旧860条)、法定相続人です。さらに、佐清は婿養子であった松子の夫の相続権を代襲しており(民法現行887条2項)、法定相続人なります。

一方、野々宮祝子と青沼静馬は佐兵衛翁の実子ですが、佐兵衛翁との間に法律上の親子関係はないので、祝子(およびその代襲者である珠世)と静馬が法定相続人になることはありません。

佐兵衛翁の遺言を窪田先生の解説のとおり(前回の記事参照 http://nashidaina414.blog.fc2.com/blog-entry-352.html )、包括遺贈であるとすると、松子・竹子・梅子・寅之助・幸吉・助清の6人は、それぞれ遺産の12分の1づつを遺留分として、遺留分減殺請求権を有しています(民法1028条)。この権利を行使すれば、仮に野々宮珠世に全財産が贈られたとしても、遺留分の範囲で遺産の分け前を確保ができます。

家業の承継は一括承継が重要であって、お菓子を分けるようにはいかないのでしょう。遺留分があるとかないとかは、犬神家の惨劇を防ぐことはできなかったのでしょう。

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Posted on 2018/05/12 Sat. 12:02 [edit]

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