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甲信御岳参詣道の復活⑬-オオカミ伝承(その8) 

いよいよ今週末は大学入試センター試験が実施されます。寒波が襲来しているので心配ではあるのですが、研究室のある甲府は雪予報がなく、何よりです。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ お山の上は荒れ気味なのかしら。 
20180110風景

法律に関連するブログ記事を最近書いていないなぁと本人は気づいているものの、興味はどうしても法律以外の分野--たとえば、霊獣としてのオオカミ--にあるので、引き続きオオカミ伝承のメモをしてゆきたいと思います。

北巨摩郡教育会『口碑伝説集』のオオカミ伝承(中編)
1935年(昭和10年)に出版の『口碑伝説集』から引き続きオオカミ伝承を拾います。

[西5‐8‐1]送り犬
  安都玉村原長沢の輿水某が、昔南佐久郡川上村から二匹馬を引いて夜道をかへつて来た。国界辺から送り犬についてこられてこまつた。その中に山犬がだんだん増して何十匹かわからん程たくさんになつた。
その夜は旧暦八月十五夜で空は晴れてゐた。月の光に透かしてみると、だんだん山犬がふえてくる。そうしてくべいをかいて(狗吠をかく、山犬の吠えること)友犬を呼びながら後をついてくる。
  この時川俣川の川下から夜網を打ちながら上つて来た、輿水某があつた。此の男の囲りにも山犬がたくさん集つた。山犬は川岸に集つてくべいをかく、此の男も逃げも出来ずこはごは網を打ってゐた。網を打てば山犬が少し後へ下る。網を引けばついてくる。あまりのこはさ遂々網を棄てて、今の栗木沢の道を上つて来た。さうして「オーイ、オーイ」と大声に叫びながら、だんだん上つて来た。丁度そこへ何十匹かの山犬につかれてふるへ乍ら歩いて来た輿水某が来た。これも人声をきいて生き返つた心地で返事をした。二人はやつと元気づいて栗木沢を下つて川俣川の西に出た。川西へくると山犬はいつとなく離れてしまつたといふことである。(浅川耕三-輿水友吉)92‐27

  ※安都玉村原長沢=現在の北杜市高根町長沢の一部

[西5‐8‐2]送り犬2
  これも原長沢の輿水某が六十年位前に馬方をして川上へ通つたことがある。念場原へかかると山犬がついてきてこまつた。仔馬程もあるのが五、六匹もついてきた。馬も驚いて中々進まない。仕方ないから路傍の枯草に火をつけてどんどん燃すと山犬が後へ下る。少し来ると又ついてくる。又火を燃すと犬は後にさがる、かうして路の枯草に火をつけ乍らやつと家へかへりついたさうである。(浅川耕三-藤森幸太郎)93‐27

  ※念場原=現在の北杜市高根町清里の一部

[西5‐8‐3]送り犬3
  四十位年前の旧暦七月一日の朝、暗いうちに二駄朝草(馬二頭をひいて朝草刈りに行く)に行つた。あまり早かつたものだから眠くてしかたがなかつた。鞍の上で居眠りをしてゐた、しばらく行くと馬が口先で馬方の足を突き上げるやうなことをする。始めは気にもとめなかつたが何回もするので変に思つて鞍の上に起きなほつて、あたりを見た。すると馬の後ろにとても大きい山犬が二匹、馬のあとをついてくる。それが時々駆けよつては後の馬の尻尾の毛をくはえて引張る。そのたびに馬が首を上げて馬方の足をおし上げたのだとわかつた。そこで弱りきつた馬方はなんとかして山犬を追つぱらわねばならないと思ひ、山犬は火を怖がるときいてゐたから、兎に角煙草を一服つけようと「チヤキン、チヤキン」と火を切つて煙草を吸ひ始めた。いくら火をみせても山犬はにげない、しかたがないから煙管に山のやうに煙草をつめて火をつけた。さうして遠くからもこれが見えるやうにしたが、やつぱり山犬は相変らずついてくる。さうして時々馬の尾を引張る。仕方がないから火のついた煙草のほくを払つて、それを指先で摺りつぶすやうにして山犬の方になげた。ほくは花火のやうに山犬の鼻面へ散つた。それに驚いて山犬もやつと逃げたと。(浅川耕三-輿水友吉)92‐27


[西5‐9]山犬のおぼこ見
  昔は山犬が仔を生むと、山犬のおぼこ見といつて村中各家から米を寄せて名主方に持ち寄り、名主が切火で赤飯をふかし、新らしい桟俵の上にそのままあげて、山犬の巣の入口においた。犬の巣の入口には青竹を高く立て注連をはつた。その時の赤飯は必ず大枡一升とし、誰も外のものは手をつけない。もし大枡一升が少しでもかけると山犬が里へ出て悪るさをすると。(浅川耕三-浅川ゆくの)94‐29



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Posted on 2018/01/11 Thu. 14:28 [edit]

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