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甲信御岳参詣道の復活⑫-オオカミ伝承(その7) 

クリスマスを迎え例年なら実家に帰省している頃なのですが、今年は日並びがいまひとつのため、まだ甲府で後片付け中です。
甲府での年内業務は明日26日までを予定しており、新年は5日からの予定です。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 年内最後の投稿です。
20171225風景

北巨摩郡教育会『口碑伝説集』のオオカミ伝承(前編)
今日は1935年(昭和10年)に発行された北巨摩郡教育会『口碑伝説集』郷土研究2輯1冊に掲載されたオオカミ伝承をメモしておきたいと思います。旧の北巨摩郡域は現在の北杜市韮崎市甲斐市になっています。参詣道との比較からは、専ら西口方面となります(このメモでも西口に分類)。
この『口碑伝説集』掲載の伝承は、市町村誌にも転載されていることも多く、2~3回に分けて、まとめて記録しておきたいと思います。

[西5‐1]山犬
  今七、八十位の老人の子供の頃は八ヶ岳山麓から山麓の里にかけて大層山犬が棲んでゐたさうである。山犬が子供を産むと頻りに食をあさりに里に近づいて来て、里犬や猫などを捕へ、また夜通行人には送り犬がつき、里犬は夕方からは外へ出ず縁の下などでふるへてゐた。その頃は夜暗くなると里近い山や林で山犬の唸り声が聞こえて物凄かつたさうだ。さういふ時はその部落の長から布令を出し、適宜に近所四、五軒位が寄り合つて赤飯を炊き魚類を添へて、八ヶ岳山麓のごつとといふ石の沢山ある所へおぼこみに行き、御馳走を上げて来たといふ。それ程当時は山犬を山の神として恐れてゐたものである。(井出正武)90‐9-21


[西5‐2]山犬のおとし穴
  昔くろ沢には山犬がたくさんゐた。夕方になると家の近くでうなつてこまつた。これを退治するために深い穴をほつてその中に馬骨などを入れて上を小枝などで覆つて、山犬を陥しいれたものだ。(村山西校-深沢)91‐22

  ※くろ沢=現在の北杜市高根町と同市長坂町との間の沢筋のことか

[西5‐3]山犬
  昔熱見村赤羽根(地名)のあるおぢいさんが、諏訪からの帰り棒道を通つたことがある。
夕方になつてあたりが夕やみにつつまれると、何処からともなくたくさんの山犬が出て来て、おぢいさんの後となり先となりてつきまとつた。その中に山犬が後ろから駈けて来て高跳をするやうに、おぢいさんの頭の上をとび越へた。
  それは山犬がおぢいさんのちょんまげに爪を引かけて引倒すつもりらしい。倒れるとそのすきに山犬がとびつくといふことを知つてゐたから、おぢいさんは山犬の爪をまげへ引かけられては大変だ。そこでおぢいさんはまげを解いて髪をふりみだして。やつと西之割まで帰つて来たと云ふことである。(村山西校)91‐23

  ※熱見村赤羽根=現在の北杜市高根町村山西割赤羽根

[西5‐4]山犬2
  又秋の彼岸頃になつて奥山に草刈に行くと、大概の日におくり犬といつて、山犬が後からついて来たものだ。おくり犬は人が倒れると飛びつくものだから、もしつまづいて倒れる時にも必ず「どつこいしょ」と声をかけるものだと。
  又おくり犬は、村の近くに来ると「ありがたうやう」といへば、いつとなくはなれて仕舞つたといふことである。又山犬がついて来ても煙草の火を見せれば、逃げて仕舞ふと云ふことである。(村山西校)91‐23


[西5‐5]山犬
  安都那村箕輪新町の北の原には昔、山犬がたくさんゐて晩方になると人の後を附いてきてこまつた。山犬はだまつてこそこそついてくる。これを送り犬といつてゐた。今から五〇年位前原長沢の輿水左五衛門が新町から帰りに送り犬がついてきた、旭山の東まで来ると犬がだんだん近づいてきたから、後へ向いて「バカ犬メ、オボエテヰロ」といついてどなつたら送り犬がはなれた。(浅川耕三-藤森幸太郎)92‐24

  ※安都那村箕輪新町=現在の北杜市高根町箕輪新町

[西5‐6]津金山の山犬
  六十年位前には津金山には山犬がずいぶんゐたものだ。秋の彼岸過ぎになると津金山から山犬が旭山に渡つたものだ。斑山の北から旭山まで一列に続いたのを見たことが何度もあつた。(浅川耕三)92‐25

  ※津金山、斑山=現在の北杜市須玉の山か ※旭山=現在の北杜市高根町の山か

[西5‐7]犬道
  安都玉村長沢の北、海田のおくに山犬の通った犬道があった。今のその道が残っている。
今から六十年位前、原長沢の輿水某が馬屋の後の土台の下へ山犬が穴をあけて、馬屋の仔馬を引き出して何処かへ喰はへて行った。(浅川耕三-藤森幸太郎)92‐26

  ※安都玉村長沢=現在の北杜市高根町長沢の一部

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Posted on 2017/12/25 Mon. 10:25 [edit]

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