山梨には「無尽」が残っているよ(メモ前編) 

研究室のある甲府も寒い日が続きなかなか活動的になれない研究室の庵主であります。

研究室の窓から見える今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 冠雪部分が広がったような・・・
20161215風景

さて、行きつけの散髪屋の兄ちゃん(純山梨県人)と、散髪をしてもらっている間に、山梨の「 無尽(むじん) 」について、少し話をする機会があったので、備忘録としてブログを残しておきたいと思います。

法律を専門としている者にとって、「無尽」は一種の民間金融で、現在のように銀行の発達していなかった近代以前の制度という印象がありました。高校時代の日本史の教科書などにも、「無尽」と「頼母子(たのもし)」という用語がセットで出てきた記憶があります。

法律学用語の辞典を見てみると、無尽の内容を次のように説明しています。

「一定の口数を定めて、加入者を集め、定期に各口につき一定額の出資(掛金)をさせ、その毎回の出資金から1口ごとに抽選又は入札により金銭又は物品を給付し、順次にすべての口にこれを及ぼす契約。庶民間の金融手段として古くから行われた。<以下略>」(我妻榮代表編集『新法律学辞典[新版]』(有斐閣、1967年)1164頁)


「『無尽』とは関東で用いられる言葉であって、関西では頼母子(たのもし)もしくは頼母子講というのが普通である。この種の契約が成立する事情は、多くの場合次の通りである。甲が金5万円をいま必要としているが一人でそれだけ用立ててくれるものがいないときに、友人・知人の間を説き、1回5,000円払い、11回で完了する旨の無尽を組織する。この組織が終わると甲は自宅で最初の講会を開き、そこに集まった人をもてなすとともに、各自の醵出した掛け金の全額を取得する。彼はその結果、金5,000円を醵出して55,000円を入手したことになるのだから、結局所要の金額を手に入れる。その代わりに彼はその後無尽の世話人(『親』もしくは『講親』)になり、次の10回にわたって講会を開き、各講員をその講会に出席させるとともに、約定の掛金をその都度払い込ませ、各講会ごとに55,000円の講金が集まるようにしなければならない。他方この講金の処分方法は約定により定まるが、通常は講員に入札させ、最低の価額を付けたものにその申出金額を交付し、残余を講金の未受領者(見取口者)間で分配する。この種の行為が11回無事に終了すれば無尽は満回によって解散する。<以下略>」(末川博代表編集『民事法学辞典(下)』(有斐閣、1959年)1979頁)


ところが、山梨ではこの「無尽」という言葉・習俗が残っています。
散髪の兄ちゃんだけでなく、他の山梨県民に聞いてみても、民間金融というより、宴会や旅行を通じた懇親の集まりを「無尽」と言っているとのことです。前者を「 飲み無尽 」、後者を「 旅行無尽 」とか言ったりするそうです。これらの無尽では、費用の積み立てを行うことはあっても、お金の融通ということは行わないとのことです。

「飲み無尽」については、県内の飲食店でも「無尽」を承りますと書いてあることが少なくありません。

大学近くの中華料理屋の看板はコチラ↓ 無尽と宴会が並列ですね。
<無尽

一方で、数は少ないとのことでしたが、「 取り無尽 」と言って、お金のやりとりが行われるものもあるそうです。散髪屋の兄ちゃんも「取り無尽」には入っていないそうで、詳しい仕組みは分からないとのことでした。

(つづく)

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Posted on 2016/12/15 Thu. 12:40 [edit]

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