最近読んだ本-安保法案国会可決を受けて 

世間では土曜日でお休みのところも多いでしょうが、甲府にいるときには、何かと用事の研究室の庵主は登校しています。
シルバーウイーク前後は実家の用事やら関西の研究会の用事やらでバタバタし、約2週間ぶりの更新です。

今日の研究室の窓からの南アルプスはコチラ↓ 夕方近くなりましたが、雲に覆われています。
20150926風景2

シルバーウイーク前の18日未明にあの安保法案が参議院を通過しました。法律でご飯を頂いている立場として、民主主義や立憲主義を守ってゆく不断の言論や行動が必要であることを改めて感じています。

今回これらの出来事を受けて、以前から気になっていた2冊の新書本に目を通してみました。
庵主は大学教員なので、ある意味本を読むことも仕事の一環であり、このブログではいちいち読んだ本を取り上げることはあまりしないのですが、ちょっと備忘録も兼ねて紹介したいとおもいます。

その2冊とは、水木しげる=荒俣宏『戦争と読書 水木しげるの出征前手記』(角川新書、2015年)高橋源一郎『ぼくらの民主主義なんだぜ』(朝日新聞出版、2015年)です。

この2冊の表表紙はコチラ↓ 宣伝帯付きです。
最近読んだ本

水木=荒俣(2015) は、「墓場の鬼太郎」や「悪魔くん」で知られた妖怪漫画の大御所である水木しげる先生が昭和17年(1942年)11月前後に書かれた手記とそれに対する荒俣宏氏の解説からなっています。手記が書かれた昭和17年10月~11月は、20歳になった水木先生が徴兵検査を受けたその直後となります。また、緒戦の日本軍の快進撃が止まり、連合軍からの反撃が始まった時期でもあります。

戦争による死が避けきれなくなった水木先生の苦悩と、その苦悩の解決を書物に求めたことが生々しい手記となって残っていました。本当は通読しないと、その試行錯誤は理解できないと思いますが、誤解を恐れず、それは措いて、手記からいくつかのフレーズをメモしておきましょう。

深く知らなければ救はれない・広く浅くでは駄目だ。(昭和17・10・2)

宗教には情熱があるけれども道徳にはない。だから道徳はいやだ。(昭和17・10・16)

読書は吾を救ふてくれた。
世に文字なかりせば吾は今頃如何なるものとなつていたか。
思へば読書は恩人である。教師である。吾に於いては、正に唯一の教師であつた。否、教師でありつゝつある。
吾はもつともつとよくなれねばならぬ。それには、常に十字架のような心を持つことが必要だ。(昭和17・10・26)


教養と言ふものを得るまでは、ヘーゲルの言つたように自己を捨てることが必要だ。
青年の不完全な教養は不完全な観念を生む。
無智程駄目なものはない。
青年時代の使命を、自己を知識にする事。
あらゆる手段を以てそうする事ではないだらうか。
僕はそう信ずる。
信じた以上は実行する事だ。(昭和17・10・28)


当時の20歳の、そして決して知識層に属していたとはいえない水木先生が考えていたことの思索について、現代の我々には驚きです。水木=荒俣(2015) で荒俣は、兵役(≒死)を前にした当時の青年の多くが読書に解を求めた姿を書き出しています。

青年たちを追い立てたもの-もちろん戦争です-を、少なくとも我が国から起こさぬようにしなけれなりません。この時期に、手記が発見され、出版されたことに思いを馳せたいものです。

と書いているうちに、高橋源一郎(2015) の紹介をする時間がなくなってしまいました。大学の同僚もこれから読むと言っていたので、その紹介は次の機会にしたいと思います。
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Posted on 2015/09/26 Sat. 17:21 [edit]

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