【個人的速報】同僚のコメントが新聞に出ました。
さて、新安保関連法制に関していろいろと報道もされているところです。その折、大学の同僚である石塚准教授のコメントが朝日新聞山梨版に掲載されたので、【個人的速報】を出しておきたいと思います。
新聞記事の様子はコチラ↓そういえば、金曜日に知らない人がカメラをもって来ていました。

掲載された石塚さんのコメントを勝手に要約すると次のとおりです。
●日本国憲法9条を読むと、個別的自衛権は認められるとしても、米軍等を守る「他衛」ができるとは読み取れない。
●政府の新3要件は、適用判断が政府に委ねられており、歯止めにならない。
●憲法は国家権力を縛るもので(立憲主義)、政治家が「やりにくい」と思うのは、立憲主義が機能しており、良い憲法だ。
●戦争放棄や平和的生存権を有する日本国憲法は、西洋の憲法より一歩先を行っている。
●平和的生存権が書かれた全文と9条は、(戦禍の及んだ)アジアとの和解する決意を示す条文でもあった。
石塚さんと以前話をしたとき、庵主は企業出身なので、お金儲けのためなら基本的人権は二の次だし、儲けるためなら戦争でも何でもしちゃうよ的な立場の人かもしれないと危惧していたそうです。
石塚先生のご期待に反して、上記のコメントには条件なしで同意します。
Posted on 2015/06/14 Sun. 10:29 [edit]
NBP試合観戦契約約款について(前編)
さて、研究室の庵主は、6月7日の日曜日に中央大学後楽園キャンパスで行われた比較法学会シンポジウムに顔を出してきました。会場までは、JR水道橋駅から東京ドームの脇を通って行ったのですが、ちょうど読売ジャイアンツ対ソフトバンクホークスの交流戦をやっており、多くの人たちが入場するところに出くわせました。
そこで目についたのは、今回のテーマです。
東京ドーム25番ゲートの様子はコチラ↓ いろいろと注意事項が書かれていますね。

一番右手にあるのが「試合観戦契約約款」の抄録です。
ちょっと拡大したのがコチラ↓ きっと誰も読んでいないんでしょう。

球場に入場して野球を観戦するのも「観戦契約」になるのですが、その契約の内容は日本プロ野球機構(NPB)と所属全球団で統一した約款で決まっています。
球場入口に掲載されているのは一部の条項で、全文はNPBのウエッブサイトに掲載されています(http://www.npb.or.jp/npb/kansen_yakkan.html)
プロ野球を球場で観戦する場合には、観客が意識しているか否かにかかわらず、この契約内容で契約が結ばれたことになります。
ウエッブサイトに掲載された約款の構成は、次のようになっています(庵主コメント付き)。
試合観戦契約約款
第1章 総則
第1条 (目的)
第2章 観戦契約
第2条 (契約の成立) →正規入場券取得時に契約成立
第3条 (販売拒否事由) →反社構成員等への拒否
第4条 (転売等の禁止) →ダフ屋行為の禁止
第5条 (持込禁止物) →危険物の持ち込み禁止、入場時の手荷物検査
第6条 (入場拒否) →泥酔者もダメだそうです。
第3章 観戦
第7条 (入場及び退場)
第8条 (禁止行為) →麻雀も禁止だそうです。昔パリーグで見たことがあるような・・・
第9条 (応援行為) →鳴り物等は球団の許可が必要です。
第4章 違反に対する措置
第10条 (退場措置)
第11条 (販売拒否対象者の指定)
第5章 入場料の払戻等
第12条 (入場料の払戻)
第13条 (責任の制限) →球場・主催者側の責任を制限しています。
第6章 その他
第14条 (詳細の定め) →ローカルルールを定めることができるとしています。
第15条 (管轄)
第7章 附則
第16条 (効力) →2010年2月から発効だそうです。
第17条 (本約款発効前の行為)
次回は、個々の条項について、検討したいと思います。
Posted on 2015/06/09 Tue. 13:05 [edit]
姥捨てなのか?日本創生会議の提言
研究室の窓から見える今朝の南アルプスはコチラ↓ ぼやけていますが冠雪が少なくなりました。

ちなみに昨日の様子はコチラ↓ 少し分かり易いかしらん。

5月は本務校の講義・ゼミの準備や入試作業、非常勤先の講義の準備、研究会報告の準備でバタバタしており、結局2回しか更新できませんせんでした。今月もその嫌いはあるのですが、更新できるときにしておきましょう。
さて、今朝の主要紙のうち、毎日新聞を除く3紙の一面トップ記事は、いずれも日本創生会議(座長・増田寛也元総務相)の提言でした。ちなみに見出しを引用すると、以下のとおりです。
読売新聞(13版) : 「介護難民」10年後43万人 東京圏13万人地方移住を提言
朝日新聞(13版) : 足りぬ介護「地方移住を」 10年後、東京圏の需要45%増
日経新聞(12版) : 介護施設13万人分不足 41地域へ移住提言
新聞(日経・朝日だけですが・・・)はこんな感じです↓

記事の趣旨としては、東京千葉、埼玉、神奈川の1都3県(東京圏)では高齢化が急速に進み、10年後には介護施設・人材の不足により13万人分が不足するので、介護施設に余力がある26都府県41か所を例示して、高齢者の移住を促すべきであるとするものです。
日本創成会議のウェブサイト(URL : http://www.policycouncil.jp/ )を見てみると、いきなり「首都圏高齢化危機回避戦略」とのネーミングに立ち止まってしまいます。そこで立ち止まらずに、提言の中身を見てみると、首都圏の年齢動態や流入流出状況を分析した上、4つの提言をしています。その4つとは、①看護・介護職員など人材の大量投入を必要とする医療介護福祉のサービス構造の見直し、②地域医療介護体制の整備と高齢者の集住化の一体的促進、③一都三県をカバーする行政対応の確保、④東京圏の高齢者の地方への移住の促進、です。
メディアが飛びついたのは提言の4番目であることが分かりますね。
しかも、微妙なのは、提言本文の見出しでは「東京圏の高齢者が希望に沿って地方へ移住できるようにする」とし、各人の希望を打ち出していますが、メディアが参考にしたと推測される概要版ではこの点は強調されていません。その理由としては、具体策として、「企業の勤務地選択制度の普及や地方移住(二地域居住を含む)を視野に置いた老後生活の設計を支援する取り組み」が重要であるとし、制度論にとどまっています。
制度的支援も確かに重要なのですが、欠落しているのではないかと危惧する点があります。
第一に、なぜ首都圏に高齢者人口が滞留しているのか、という問題です。これは政官民が作り上げてきた、日本の産業構造にも切り込んでいかないと解決策は見出せないでしょう。
第二に、高齢者の希望は千差万別であり、マスの議論にはなじまない話だと思います。
これらの点からは、形式化された「希望」にしたがって地方に追いやられる人が出るおそれがあり、新聞上である論者が指摘するように現代の姥捨て山に繋がりかねないとの懸念が出ても仕方がないと思われます。日本創成会議のメンバーのような功なり、名を上げた人と違い、経済的に劣る者は、労働力としての価値がなくなったら、我らが東京から出て行けと言っているのではないかと勘ぐったりしていまいそうです。
東京の本音が垣間見える貴重な提言です。
これを批判するだけでなく、各地域としては一生を通じて過ごせるような、教育・雇用・医療などの振興を考えないといけないのでしょう。果たして研究室のある地域はどうでしょうか。
Posted on 2015/06/05 Fri. 11:01 [edit]
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