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東大合格に100万円-鹿児島県伊佐市の取り組み 

今日の甲府は信玄公祭りです。
朝から曇天ですが、お祭り参加者・観光客のみなさんのために雨が降りませんように。

今日の南アルプスの様子はコチラ↓ 曇っているし、昼間なのに暗いです。
20140404風景

一昨日の南アルプスの様子(近影)はコチラ↓ 甲斐駒も見えるお出かけ先(信玄橋)からです。
20150402風景

さて、今日は来週から始まる非常勤先(首都大法科大学院)の講義の準備のため、庵主は研究室に籠っています。そんなこともあって、法律を少し離れた記事に注目しました。

今日の朝日新聞朝刊オピニオン面に出ていた、昨年鹿児島県伊佐市が始めた奨学金制度(地元の大口高校に進学し、東大などの旧帝大や早慶などの難関私大に合格した生徒には100万円の奨学金を支給する)について、制度を導入した隈元伊佐市長、100ます計算の陰山立命館大学教授、経営コンサルタントの塩野誠氏の3名によるコメントです。

記事の写真はコチラ↓
20150404新聞

朝日新聞デジタル版URL(IDが必要):http://www.asahi.com/articles/DA3S11687297.html

この制度がマスメディアに取り上げられたとき、「東大」「100万円」が強調されており、庵主も大学によって金額が違うとかに違和感を持ったのですが(ちなみに庵主のいる大学なら30万円のようです)、その一方地元の大口高校への進学者増加のための話題作りとしては仕方がないのかなと思ったりもしていました。

隈元市長によると、地元の県立大口高校への進学希望者が定員120人に対し56人しかおらず、もし増加できないと学級減になってしまうが、その原因の一つに地元中学の成績上位者が市外の高校に流失しており、これを防ぎ、生徒を集める手段として、いちき串木野市で実施している制度を参考にして作ったということです。地域が生き残るためには地元に高校生をつなぎ留めるための工夫が必要なんだということをおっしゃっています。また、大口高校が目指すのは、県内にあるラ・サールのような進学校ではなく、将来地元に帰ってくる、あるいはつながりを持ち続けながら、中央で活躍する人材を育成する高校にしたいとのことです。

陰山教授は、東大合格に必要な条件として、①基礎的な学力②受験のスキル、そして何よりも③本人の「東大に入りたい」という強い意欲を挙げ、それぞれの具体案を挙げらています具体案自体もおもしろく、ポイントはついている気がするのですが、隈元市長をはじめ地方に暮らす人たちがどう受け止めるかには若干懸念があります。

東大ではないのですが、旧帝大の卒業生である庵主の経験からすると、陰山先生の上げる条件の加え、あるいはその前提として、④これらを支えるある程度の経済力をあげておきたいと思います。

この点に関連することをを述べているのは、塩野氏です。ただし、貧困世帯の教育格差の解消には100万円では足りないと断言しています。そのとおりでしょう。これは特定の地域の問題ではなく、日本全体の問題として考えなければなりません。

塩野さんは、東大を筆頭としたいわゆる一流大学を目標においていることに疑問を呈しています。ビジネスの世界では東大卒という肩書はビジネスの現場で威力を失いつつあり、ましてやイノベーションの最先端では全く無意味であるとしています。地域の担い手の確保が必要なら、むしろ、一定期間の地元での活動を条件に、医学部合格者を対象に奨学金を出すべきだとされています。

数年前まで企業に身を置いていた庵主としては、とうの昔に威力は失われいるとの印象です。
ただし、過去何十年と中央官庁や大手企業に人材を送り込んでおり、また、毎年必ず何割かの優秀な人材を輩出する東大を卒業した人を採用しておこうという考え方もあります。つまり、「東大生のA君は戦力としては期待できないかもしれないが、同窓生の誰かは監督官庁に入庁するし、重要取引先に先輩も多いので、とりあえず採用しておこう」との考え方もあります。

上記3名の方の意見を読んでいて、庵主の感想は、やはり当事者であり、追い込まれている隈元市長の意見に説得力があるということです。ただし、隈元市長によると導入初年の今年の春の入学者は66名に留まったとのこと。
反対のあった政策は失敗が明らかになっても、意地で続けてしまうおそれがあります。解や策はひとつではないので、見直しつつ、地域や地元高校の活性化を図ってゆかれることを期待しています。

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おまけ:今日の校内のようす-サクラ舞い散る図書館裏駐車場

20140404校内

サクラの向こう側あたりに普段は富士山(の頭)が見えるんですが・・・


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Posted on 2015/04/04 Sat. 16:53 [edit]

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2015-04