民法(債権関係)改正の要綱(22)-一旦は完 

大学入試も無事に終わったので、研究室の庵主は1週間ばかり甲府を留守にしておりました。その間、記事の更新ができず、久しぶりの更新です。

3月もあと数日となり、大学の近所のサクラも7~8部咲きの様子です。

武田通りのサクラの様子はコチラ↓ 週末の信玄公祭りまでもつかな?
20150330風景

さて、民法(債権関係)改正について20回超の記事をアップしてきました。来週からは法制審議会から答申された要綱を使った講義を始めるので、網羅的に取り上げることはできませんでしたが、今回の記事で一旦終了します。といっても、講義や講演の準備をする過程で気づくことがあれば、トピックス的に取り上げる予定です。

ところで、昨夜東京で明治大学ロースクールの民法の先生と夕食を囲む機会があったので、民法(債権関係)改正の要綱を今年度の授業でどう取り上げるかの話になりました。
以前にも記事にしたとおり、京都大学の先生方は既に改正法(要綱仮案段階)で講義を始めているとのことです。これに対し、明治大学の先生は、完成条文ができていない要綱の段階でとりあげても、新旧条文比較や条文の事案へのあてはめの説明ができないこと、学生がいたずらに混乱するおそれがあることから、今年度は主として現行法を教授するとのことでした。確かに、現在出ている教科書は現行法をベースに解説してあり、学生の予習・復習を考えると、現行法を主とした方が良いのかもしれません。
ただし、この夏に国会を通過して成立すると、法学部2年(回)生、ロー未修1年生が社会に出るときには、改正法が施工されている可能性が高いことも事実です庵主としては、要綱に言及しながら、自習は現行法でやってもらうつもりです。

最後に、2月20日付け(18)で整理しきれなかった「第17 多数当事者」です。連帯債務者間の求償関係について、要綱は次のように提案しています。

要綱「第17 多数当事者」の関係部分はコチラ↓

4 連帯債務者間の求償関係
(1) 連帯債務者間の求償権(民法第442条第1項関係)
 民法第442条の規律を次のように改めるものとする。
 ア 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する
 イ  <中略>。(民法第442条第2項と同文)
(2) 連帯債務者間の通知義務(民法第443条関係)  <略>
(3) 負担部分を有する連帯債務者が全て無資力者である場合の求償関係(民法第444条関係)  <略>
(4) 連帯の免除をした場合の債権者の負担(民法第445条関係)  <略>


たとえば、(18)の住宅ローンの例で、A・Bの夫婦が連帯債務者となって銀行から借りた3000万円について、夫Aが2000万円分を返済するとし(住宅の持分も2/3)、妻Bが1000万円分を返済する(同持分1/3)としていたとしましょう。その後、夫婦仲が悪くなり、別居していたところ、Aが相続で得た財産を使って銀行に返済しました。第17.4(1)に従えば、返済額によって、次のとおりとなります。
1)Aが3000万円を銀行に払った場合(全部弁済)→AはBに対し1000万円の支払いを請求(求償)できます。
2)Aが2000万円を銀行に払った場合(一部弁済)→AはBに対し667万円の支払いを請求(求償)できます。

負担部分とは連帯債務者間で内部的に合意されたそれぞれが最終的に負担する額のことをいいますが、上記の例ではA2000万円、B1000万円でした。全額弁済したとき(上記1))は、弁済したAはBの負担部分全額の求償ができることは分かりやすい話ですね。
ところが、一部弁済したとき(上記2))では、Aも自己の負担部分ですらその全部を支払ったわけではありません。しかし、古い時代の判例では、負担部分を超えなくても、Aのような連帯債務者の一人は負担部分の割合に応じた求償ができるとしたものがありました(通説同旨)が、条文上ははっきりしていませんでした。今回の改正ではその点が明示されることになります。

この求償に関する規定は、連帯債務者の一人に対する免除や時効の完成の場合でも適用されます。たとえば資力が乏しくなったとしてBの負担部分が5割の免除を受けた場合であっても(注!実務では免除と弁済がセットで行われることが多い!あくまで、説明上の設例です!)、上記1)2)と同じになります。
免除(それに時効も)はその当事者にしか効力は及ばない(相対効)ので、Bへの免除があっても、連帯債務が3000万から2500万円に減額されるわけではなく、債権者との関係ではAは3000万円の支払い義務を免れず、BはAから上記1)2)と同じように求償されることになります。免除を受けたBの利益は債権者との間で調整されることになります。

この点、現行法では免除・時効が絶対効とされており、Bの負担部分についてAも免除の利益を受けることができるとされていたため、学説・判例が分かれています。各説を紹介すると長くなるので、省略させてもらいます。

<一旦おわり>
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Posted on 2015/03/30 Mon. 16:53 [edit]

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民法(債権関係)改正の要綱(21) 

研究室のある甲府も、天気予報どおり午後になって気温が上がってきています。
今週は金曜日に後期入試の合格発表があり、研究室の庵主も今週は何かと作業手伝いに駆り出される予定です。

今日の研究室の窓からの風景はコチラ↓ 朝から霞んでいます。
20150317風景

さて、今回は定型約款の最終回です。前2回の確認作業で「定型取引」かどうかが重要な前提になることが分かりますね。ところで、企業間(B2B)取引にせよ、企業・消費者間(B2C)取引にせよ、契約交渉に係るコスト削減のためには、定型化が進んでいます。これらの取引が定型約款の前提となる「定型取引」に該当するかどうかは、事実認定の問題となります。

また、一部の企業では、製品売買でも、製品製作請負でも、役務提供でも何でも適用できるとする契約書式・ひな形(取引基本契約の形式)が作られています。適用できるとする取引のうち、どれか一つの取引が定型取引と認定された場合、このような契約が定型約款とされるのか、定型約款とされた場合の適用関係がどうなるのかも、今後検討しなければならないでしょう。

通常契約に拘束される(違反をすれば損害賠償義務を負う、強制履行を受忍しなければならないなど)ためには、契約に合意することが必要です。ところが定型約款の場合、個々の内容について合意することは求められていません(みなし合意)。そのため、相手方が契約内容を定型約款の内容を知りうる手続を確保しておかなければなりません。
3 定型約款の内容の表示」では、次のような規律を置くとしています。

規律の内容はコチラ↓

第28 定型約款
3 定型約款の内容の表示
 定型約款の内容の表示について、次のような規律を設けるものとする。
 (1) 定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内(注:下線筆者)に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない。
 (2) 定型約款準備者が定型取引合意の前において(1)の請求を拒んだときは、2の規定は、適用しない。ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。


要綱の規律によると、請求があった場合には内容を示さなければならないとしています(3(1))。「相当な期間内に」がどこに掛かるのか分かりづらい表現です。

相当な方法については、但し書きで①書面の交付と②電磁的記録(メールやPDFファイルなど)の提供が上がっていますので、この①②が含まれることは明らかです。運送約款のように営業所での掲示(旅客自動車運送法4条1項など)も含まれるのかもしれませんが、業法による規制のない取引ではどこまで認められるのでしょうか。今後の状況を観察しておきたいと思います。

仮に請求を拒んだときは、みなし合意の規律が適用されないとされています。つまり、契約の内容とはならないということです。ある意味当然の規律だと思われます。

定型約款の最後は「4 定型約款の変更」です。
要綱の内容はコチラ↓

4 定型約款の変更
 定型約款の変更について、次のような規律を設けるものとする。
 (1) 定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる
  ア 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
  イ 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この4の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。
 (2) 定型約款準備者は、(1)の規定による定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。
 (3) (1)イの規定による定型約款の変更は、(2)の効力発生時期が到来するまでに(2)による周知をしなければ、その効力を生じない。
 (4) 2(2)の規定は、(1)の規定による定型約款の変更については、適用しない。


契約の変更は相手方の合意がない限り、通常はできません。定型約款の場合には、個別の同意なく変更することができる要件を定めています(4(1))。

アの「相手方の一般の利益に適合する」とはどのような場合を想定しているのでしょうか。部会資料83-2では、相手方の利益となる変更(利益変更)といっているのですが、議事録の精査などが必要のようです。

また、この規律に基づく変更では、定型約款作成者が所定の事項を「インターネットの利用その他の適切な方法により周知」しなければならないとされています(4(2))。ネットショッピングなら格別(特定商取引に関する法律が適用される場合もある)、インターネット上で見ることができるようにしただけでは、要件を充足するとは限らないことに注意が必要でしょう。

<つづく>

Posted on 2015/03/17 Tue. 16:56 [edit]

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民法(債権関係)改正の要綱(20) 

今日の甲府は、春近しとはいうものの、強風が吹いて、寒さを感じる日和となっています。

今日の研究室の窓からの南アルプスはコチラ↓ 山の方では昨夜は雪が降ったようです。
20140310風景

前回に引き続き、「民法(債権関係)改正の要綱」から「第28 定型約款」について、確認をしようと思っているのですが、第18回の記事で取り上げた「第17 多数当事者」が途中までで止まっていることに気づきました。多数当事者は定型約款終了後に触れるとして、今回は定型約款を引き続き確認してゆきたいと思います。

前回の記事では、企業間取引使用されるひな形や様式は原則としてこの定型約款にあたらないと解されることを確認しました。

ところで、研究室の庵主が企業法務をやっていたとき、相手方からの契約書案について「修正不可」といわれたと窓口部署から言ってきたことがありますし、自社の担当者が自社の契約書案についてそのように相手方に言ったということを聞いたことがあります。このような「修正不可」とされるケースは、庵主の経験則上、契約書案の提案者側の社内ルール上は修正可能だが、①提案者の方がビジネス上の立場が上であり、文句を言うなと強弁している場合、あるいは②自社様式を修正すると法務部門等の関係部署の了解をとったり、上司の個別の稟議・決裁が必要となるので、この手間を担当者が省きたい場合などが考えられます。また、庵主が企業をドロップアウトする頃にはほとんど聞かなくなっていましたが、かつての国・地方公共団体やその外郭組織、国公立大学との契約では、条例や政令・通達によって契約書案が決まっているので、変更はできないということもありました。

上記のようなケースでは、画一的取扱いに合理性がないと判断されるであろうとの推測を前回書きましたが、契約書案の提案者側が「修正不可」であると言ったことは、この判断に影響を与えるのでしょうか。

結論から言うと、合理性の観点から、「修正不可」と言っただけでは定型約款に該当しないと思われます。しかし、相手側にとって将来的に条項の不当性を申し立て、合意の不成立を主張する理由を与えるおそれがあります。
したがって、契約実務としては、相手方に対し「修正不可」と取られる発言をしないように担当者に指導しておかなければなりませんし、相手方から修正の申し出があったときは交渉の土俵に上げたうえ、真摯な交渉が必要になると思われます

この点に関連して、定型約款の内容の合意についての、要綱の記載を確認しておきます。

要綱の該当部分はコチラ↓ 前回の「第28 定型約款」の続きです。

2 定型約款についてのみなし合意
 定型約款についてのみなし合意について、次のような規律を設けるものとする。
 (1) 定型取引を行うことの合意(3において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
 ア 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
 イ 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。
 (2) (1)の規定にかかわらず、(1)の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして民法第1条第2項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす


みなし合意には(上記(1))には、アとイの二つがあります。
アはこの約款を使って契約しましょうという合意であって、しばしば世間で見られるものです。これに対し、イは、インターネット取引を例にあげて、取引合意はできているが、その際に約款を使用する旨の明示があった場合を想定しているとされています(民法(債権関係)部会資料83-2「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案案 補充説明」39頁参照)。

この規定のポイントは、相手方がすべての条項を了解・同意していなくても、すべての条項に拘束されるということです。本来了解していない条項について、良いも悪いもいえるものではなく、契約の前提となる合意も何もあったものではないのですが、このような条項についても合意があり、拘束されるとされます。

しかし、本条項(2)では、例外の規定が置かれています。
みなし合意とされるべき条項のうち、①契約の相手方の権利を制限し、または義務を加重するものであって、かつ②取引上の社会通念等に照らして信義誠実原則(民法1条2項)に反して相手方の利益を一方的に害するものと認められる場合は、その条項は合意しなかったものとみなされます。「みなされる」という意味は、相手方が合意したことを定型約款の作成者の主張・立証が認められないということになります。

このような規定に類似するものとして、消費者契約法10条があります。

消費者契約法10条はコチラ↓ 似ていますがちょっと違いますね。

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条  民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。


まず、要件①に関していうと、消費者契約法が基準として「公の秩序に関しない規定」とされていますが、要綱の方は規定がありません。この点について議事録も未公開なので、部外者の庵主としては、同じように解釈されるのか確実なことは言えません。ただし、文言からすると同じような基準を立てるものと思われます。

次に、要件②です。要綱では考慮すべき事項として、「定型取引の態様及びその実情」と「取引上の社会通念」があげられています。やや特殊なのは定型取引の態様・実情でしょう。事務局作成の部会資料83-2「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案(案) 補充説明40頁には、「契約の内容を具体的に認識しなくとも定型約款の個別の条項について合意をしたものとみなされるという定型約款の特殊性を考慮する」ものとされています。このことから推測すると、消費者契約法より適用される範囲は狭くなることが考えられます。

消費者保護を目的とする消費者保護法と取引の一般法となる民法で違いがでるのはある意味当然だともいえます。

≪甲府は雪が舞い始めました。また、後日続きます。≫

Posted on 2015/03/10 Tue. 16:46 [edit]

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甲府のノラ-猫編16号 

3月だからまだ寒い日があるニャ~。
発泡スチロールの上は暖かだニャ~。

ノラ16号

Posted on 2015/03/07 Sat. 13:21 [edit]

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民法(債権関係)改正の要綱(19) 

最高気温が連日20℃超えの台湾から甲府に戻り、寒さに震えるかと懸念していました。
しかし、研究室のある甲府も春の気配で、庵主も体調を崩すことなく、帰国翌日からの入試業務に追われていました。

今朝の研究室の窓からの南アルプスの様子はコチラ↓ 少し曇りがちです。
20150306風景

今日前期試験の合格発表があるので、雑務の間に記事を更新したいと思います。
先日の記事で書いたように、民法(債権関係)改正について、先月24日に法制審議会総会で要綱が承認されました。そのため今日からは要綱の引用になり、タイトルも「~要綱仮案」から「~要綱」に変更です。

要綱仮案と要綱との大きな違いの一つは、仮案段階でペンディングとされた「約款」に関する規律が要綱に掲載されたことがあげられます。そこで、今日から2回にわたって、要綱「第28 定型約款」を取り上げてみたいと思います。

この約款に関する規律を置くか否かについては、法制審部会内部で民法に盛り込むべきとする消費者・研究者側と盛り込む必要はないとする産業界側の意見の相違があり、要綱仮案段階ではペンディングとされたと聞いています。そのためか、日本経済新聞3月2日朝刊法務面でも委員であった岡田ヒロミ消費生活専門相談員と佐成実東京ガス法務室長へのインタビュー記事が出ていました。ただし、法律に詳しくないひとにとっては、前提の説明が少ないので、両者の言いたいことがいまひとつ分かりにくいんのではないかと思われます。

まず、「約款」という言葉の意味です。
国語辞典をみると、「法令・契約などに定められた、一つひとつの条項」とされています(『新明解国語辞典第4版』)。これに対し、法学の世界ではこのような用法もありますが、むしろ契約の一方当事者が作成した契約条件をそのまま受け入れるか、あるいは契約しないかの自由しか相手方当事者が有しない契約(附合契約)に使用されている契約条項のことを約款(あるいは普通契約約款)と呼んでいます。

このような附合契約の例としては、電気・ガス・水道の供給契約電車・バスなどの乗車契約(運送約款)があります。これらの契約はその公共的性格から附合契約とされたものです。公共的性格ではなく、事業効率性の観点から附合契約となったものに、銀行の住宅ローン契約のような場合もあります。

今回の「民法(債権関係)改正の要綱」では、その対象を「定型約款」とし、次のように規定するとしています。
要綱の定義部分を引用してみましょう。

第28 定型約款
1 定型約款の定義
 定型約款の定義について、次のような規律を設けるものとする。
 定型約款とは、定型取引(ある特定の者不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。


定型約款にあたるかどうかは、①ある当事者にとって不特定多数を相手とする取引であること②契約の内容の一部または前具が画一的であることが双方にとって合理的であることの条件を満たす場合に、当該ある当事者が作成した契約条項(全体)をいうとされています。

①の要件は、企業-消費者間取引(B2C取引)の大部分が該当するでしょうし、企業間取引(B2B取引)のうち規格品売買や画一的役務の提供契約でも該当するものがありそうです。
この点、前者について消費者法(消費者契約法という法律もあります)の問題であるとの産業側の反対論の論拠にもなっていましたが、B2C取引の多くが該当することは間違いないようです。一方、後者については、企業間取引では、取引先が多数の場合でも、相手方の個性に着目して契約することが少なくないので、この要件に該当しない=一方企業が作成しているひな形などは定型約款にならないとの説明が法務省からなされています(民法(債権関係)部会資料86-2「民法(債権関係)の改正に関する要綱案の原案(その2) 補充説明」1頁)。

②の要件については、議事録が公表されていないので、何をもって「合理性がある」と考えられるのかが明らかになっていません。少なくとも契約当事者間の交渉力の格差(大企業と汎用品の中小メーカー間の契約交渉を想定してください)は画一的取扱いに合理性があるとはされないようです(前掲部会資料1頁)。もう少し議論が必要な要件だと思われます。

③の要件について、仮に一方当事者が作成した契約書案であっても、交渉可能であれば、この要件に該当しないとも考えられます(前掲部会資料1頁参照)。B2B取引では、どちらが先に案文を提示し、契約交渉の基礎となるかをめぐってせめぎあいが生じることがあります(書式の戦い“battle of form”と呼ばれます)が、その場合に提示される契約書案は定型約款と認められないと考えられます。

次回は、少し要綱の内容に入ってゆきたいと思います。

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合格発表が無事終了です。

発表風景はコチラ↓ 小規模な大学なので、にぎやかな発表ではありません。
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20150306風景2

Posted on 2015/03/06 Fri. 17:20 [edit]

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2015-03