来月に公開講演会を主催します。 

研究室のある甲府も昨日から冷たい雨が降っています。

さて、来月早々に庵主の研究室と同僚の藤原准教授の研究室との共催で、外部の講師の方を招いて、講演会を開催します。

後援会のちらしはコチラ↓ 庵主自作です。 
20141209公開講演会

大学で外部の方を招いて後援会をする場合、大学本部・学部等が主催のもの、後援会や研究会が主催のもの、教員が主催のものに分かれます。主催が違えば、謝金・交通費その他のお金の出所がかわりますが、教員が主催する場合は、教員の研究費を充てることになります。この研究費は、大学から一律に割り当てられるものと、外部に申請して交付を受けるもの(公式には競争的資金と呼ばれます。)。

庵主が主催するのは初めてなのですが、企業在職中には講師として出向いたことは何度かあります。
結構難しい話をしたとは思うのですが、一部講義への振替も行われていたので、そこそこの学生が集まっていたように記憶しています。そのような状況を見て、ある金融機関出身の教授がポツリと言ったことが印象的でした。

「学生は、企業実務家が講師の講演は聞きに来るが、元企業実務家の教員の話は聞かない」

学生にとっては物珍しいだけかもしれません。
ただし、漫然と過ごしがちな学生生活において、目先の変わったものを提供することによって、社会に多少目を向けてくれると、我々社会科学系の教員も助かります。授業一コマ分の楽ができるというのは、講演会開催の理由ではないんです。

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Posted on 2014/11/26 Wed. 13:02 [edit]

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民法(債権関係)改正の要綱仮案(11) 

今朝の甲府は快晴となっています。そのため放射冷却現象がおきたようで、最低気温は1℃代に下がっていました。

研究室の窓から見える今朝の南アルプス↓ 雲一つない状態です。
20141119風景

空は晴れ渡っていますが、永田町では解散風が吹き、暗雲が立ち込めていたところ、意味不明の解散が行われることになりました。納税者!!としてはたまったものではありません。政治向きの話はそれくらいにして、要綱仮案です。

8月に公表された「民法(債権関係)改正の要綱仮案」を確認してきましたが、庵主の経歴もあって、実務的なコメントに偏り、学問的なコメントがなかったなと思っています(でも、特に反省はなし)。個々の契約類型に関する提案を見てきましたが、契約の総則的なところ「第26 契約に関する基本原則」と「第7 契約の成立」を2回に分けて確認してゆきたいと思います。

要綱仮案・「第26 契約に関する基本原則」は以下のとおりです。

第26 契約に関する基本原則
1 契約自由の原則
 契約自由の原則について、次のような規律を設けるものとする。
 (1) 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
 (2) 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。 
 (3) 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。

2 履行の不能が契約成立時に生じていた場合  <略>


最初の「1 契約自由の原則」のタイトル通り、当事者が契約を締結するかどうか(1)、契約する契約内容(3)や方式(2)を自由に決定することができ、自由に決定され、締結された契約について法律の保護が受けられるということも含んでいます。このような契約自由の原則は、現行民法には規定はありませんでしたが、資本主義下の市民社会では当然の前提となっていました。

本文(1)(2)には「法令に特別な定めがある場合を除き」など、法律上の例外の存在が示唆されています。(1)の例外として身近なものでは、NHKの受信契約(放送法64条)、電力会社の供給契約(電力事業法18条)などが例に挙げられることがあります。(2)の例外では、定期借地契約のように公正証書での締結が義務付けられている(借地借家法22条)ものがありますし、融資を受けるときなどに提供される保証契約は書面による作成が義務付けられています(民法446条2項)。

本文(3)の「法令の範囲内」の制限については、公序良俗に反する内容(民法90条)、あるいは強行法規に反する内容のものは効力が認められません。前者の公序良俗に反する内容の例としては、殺人等の犯罪を依頼する契約、賭博契約、愛人契約、人身売買契約などがあたりjます。後者の強行法規に反する内容の例としては、借地人に不利な借地契約上の特約(借地借家法9条参照)事業者の契約違反責任を全部免除する特約(消費者契約法8条)などがあげられます。

次回に続きます・・・

Posted on 2014/11/19 Wed. 14:11 [edit]

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民法(債権関係)改正の要綱仮案(10) 

この週末は全国的に気温が下がっているようですが、研究室のある甲府も昨日から寒くなってきました。
研究室の窓から見える南アルプスも雪が積もったとの報道がありました。

研究室から見るいつものアングルはコチラ↓ 写真の左右端の山頂に白いものが・・・
201411014風景1

農鳥岳方面を拡大したものはコチラ↓ やはり雪が・・・
20141114風景2

さて、今日は「民法(債権関係)改正の要綱仮案」契約各論部分の横断的なものを見てゆきたいと思います。

学生の講義でも、社会人向けの講義でも、契約の話をするとき、どうすれば成立するかという話を最初にしています。特に庵主が企業にいたときにも、営業担当者が取引先と気軽に、あるいは営業の過剰なサービスから口約束をし、後にその口約束をめぐって法的責任を追及されることがたまに発生しました。そのため、最前線の営業職や研究職の人に口約束でも契約が成立し、契約上の責任を負う場合があることを理解させる必要があったからです。

法律上は、当事者の合意のみで成立する契約類型(諾成契約といいます)と、合意のほかに物の引き渡しやその他の物の給付があって成立する契約類型(要物契約といいます)があり、前者は今まで見てきた売買、請負、賃貸借などが該当し、後者は消費貸借使用貸借(無償で物を貸す契約--企業間でも販売や開発のために機械や設備を無償で貸すことがありますし、個人間ではよくみられると思います)、寄託(物を預ける契約--倉庫も業法で規制される場合があるものの、寄託の一種になりますし、預金も消費寄託といって寄託の一種とされます)が該当するとされています。

今回の要綱仮案では、要物契約とされた消費貸借、使用貸借、寄託について、当事者の合意だけで成立する諾成契約に変更する旨の改正提案がなされています。たとえば、寄託について現行法と要綱仮案を比べてみるとつぎのようになります。

現行民法657条
寄託は、当事者の一方が相手方のために保管をすることを約してある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。


要綱仮案「第38 寄託」
1 寄託契約の成立
(1) 要物性の見直し
 民法第657条の規律を次のように改めるものとする。
 寄託は、当事者の一方が相手方のためにある物を保管することを約し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
<以下略>


したがって、このとおりの民法改正がなされると、今までは寄託や消費貸借の合意しても物を相手方に渡さない、お金を貸す約束をしてもお金を実際に貸さない限り契約が成立しておらず、ヤーメッたとすれば、契約が成立していない以上、契約違反の責任は問われませんでした。もちろん、相手方としては、合意どおり契約が締結されるとして準備していたことがあるはずなので、被った損害はヤーメッた当事者に請求することはできました。

要綱仮案の立場であれば、契約は成立していることになるので、ヤーメッた当事者に対して契約違反の責任を追及することができるようになります。契約違反の責任を問うことができるかどうかにより、法学的には請求できる損害の範囲が変わってくることになり、一般的には現行法で問える責任より賠償を求めることができる範囲が広くなると考えられています。

要綱仮案でも、このような変更にあわせ、契約を解除できる場合の手当てもなされてはいますが、はじめに述べたように口約束の重要性を講義や研修で説明する意義は増したかもしれません。

Posted on 2014/11/14 Fri. 16:19 [edit]

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裁判の現場-信玄公旗掛松事件 

今日の甲府は雨模様なので、行楽にも出かけられず、仕方がなく(?)研究室に登校しています。

昨日は久々の休日甲府だったこともあり、山梨県の歴史に敬意を払う意味もあって、自転車を転がして、甲州武田氏の由来となった武田八幡神社(韮崎市神山町)にお参りに行ってきました。

武田八幡神社の石鳥居から総門を見たところ。本殿(マイルールで本殿写真はなし)はまだまだ上です。
20141108武田神社

後ろを振り返ると、釜無川(富士川)流域から韮崎方面が一望です。
20141108八幡神社2

その後、もう少し足を延ばし、JR中央線日野春駅にたどり着きました。
この日野春駅の脇にある「信玄公旗掛松碑」、これが今日の話題である裁判-信玄公旗掛松事件(大審院大正8年3月3日判決)-の現場です。

信玄公旗掛松碑はコチラ↓ 実際はもう少し線路より(画面左より)だっととのこと。
20141108旗掛松

健在なりしときの旗掛松の写真↓ 立派な松です。 
20141108旗掛松2
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%A1%E7%8E%84%E5%85%AC%E6%97%97%E6%8E%9B%E6%9D%BE%E4%BA%8B%E4%BB%B6より

事件の概略は、国鉄(現在のJR)中央線日野春停車場のそばにあった通称「信玄公旗掛松」が蒸気機関車の煤煙によって枯死したので、松の所有者であった原告・清水氏が損害賠償を求めて国を訴えたものです。大審院(現在の最高裁判所)は、蒸気機関車の運行上煤煙の発生はやむを得ないが、甚だしく煤煙の害を被るべき位置にあった旗掛松につき、煤煙予防策が可能であったのに、それも行わずに枯死させたことは、社会観念上一般に容認すべきものと認められる範囲を超越し、不法行為にているとして、国の上告を棄却し、原告勝訴としました。

この事件は、権利濫用(民法1条3項)の代表事例の一つとして、民法の講義では今でも取り上げられています。たとえば、手元にあった松本恒雄=潮見佳男『判例プラクティス民法Ⅰ』(信山社出版、2010年)にも出ていました。

該当部分はコチラ↓ 
判例プラ

地元裁判例なのですが、非法学部生向けの庵主の講義では、残念ながら時間の関係で取り上げていません。

Posted on 2014/11/09 Sun. 14:23 [edit]

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京都大学の公安警察無断侵入事件への対応 

研究室のある甲府は朝夕めっきり涼しくなりました。
甲府の町中の木々も色づいてきましたが、山の方では紅葉本番の便りが聞こえてきます。

週末お伊勢参りからの帰路、小淵沢駅手前からの八ヶ岳はコチラ↓ 八ヶ岳おろしには少し時間がありそうです。
20141104八ヶ岳

さて、あまり大きなニュースにはなっていないのですが、中核派によるデモで逮捕者が出たことに対する、京都大学構内での抗議集会に京都府警の公安警察が情報収集のために立ち入ったところ、学生に拘束されたというニュースを目にしました(事件自体は4日)。さっきネットのニュース検索をかけてみると、ほとんどの記事は削除されており、まるでそんな事件はなかったかのような扱いです(赤旗の電子版まで見たのに・・・)。

今日の昼食時、法学を専門とする同僚とたまたまその話が出たので、改めて検索してみたのですが、上記のような状況です。

記事がなくなった理由は分かりませんが、京都大学と京都府警で何らかの手打ちが行われたのかもしれません(邪推かな?)

京都大学にかつて在籍したことがある庵主としては、第一報を聞いたとき2つの驚きがありました。
1.京都大学にまだ中核派がいたということ
 庵主が学部生だった30年近く前でも、たまに見かけることはあっても、京大中核派はほとんど伝説のような存在でした。むしろ共産党系の民青の方が目立ちました(噂によると、その後共産党の活動家になった同級生もいるらしい・・・)。規模は分かりませんが、集会を開ける状態だったんですね。
2.公安警察が不用意or図太くなっていたこと
昔から京都府警の公安も左翼系・新左翼系の動静に対し監視・情報収集していましたが、決して構内には入らず、東一条通から見ていました。堂々と集会に入ってくるとは、単に不用意なのか、それとも昨今のご時世に便乗して図太くなったのかどちらでしょうか。

この事件に対し、迅速に解決に乗り出した京大執行部(杉万副学長)は無断での構内立ち入りに対し遺憾の意を表したと報道されていました。かつて権力から介入を受けてきた大学に対し、西欧の先人たちの努力によって認められてきた学問の自由とその派生原理である大学の自治を尊重する立場からは当然の表明だと思われます。

先の同僚とは、同じ国立大学でも本学では京大執行部のような対応は期待薄だよねというということで、妙に納得してしまったのが、少しさびしいところです。

Posted on 2014/11/06 Thu. 19:06 [edit]

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2014-11