【贔屓かも】京都大学次期学長のインタビュー記事 

太平洋側では大雨が降り、新幹線も止まっていたとのことですが、少雨県庁所在地・甲府では朝方小雨が降った程度で、現在は上がってしまいました。

さて、民法(債権関係)の要綱仮案・賃貸借の確認を記事にする予定でしたが、今朝の日本経済新聞で京都大学の次期学長(東大と京大は「総長」と言っていたのですが、いつも間にか「学長」になっていますね・・・)である山極寿一教授(人類学・霊長類学)のインタビューが出ていたので、予定を変更して、紹介をしたいと思います。

記事の写真はコチラ↓ 電子版では有料購読者だけしか読めませんでした・・・
20140925記事

見出しが「落第してもいいんだよ」としてあり、人目を惹くようにと思ったのかもしれませんが、後に述べるように

インタビューでは、「就任後にやりたいことは何か」との質問に対して、山極先生は「大学の財産である学生たちを育て上げ、世界で活躍できる人材にして送り出すことだ」と普通の回答でしたが、これから後は山極教授と日経新聞記者の考え方がずれてきます。

今の学生気質と昔の学生気質を比べてどうかという質問について、自由放任で学問のできた世代と自認される山極教授は「今の大学教育はとても窮屈に見える」、その理由は成績評価が総合得点の点数主義ではないかと指摘されます。

研究室の庵主としては他にも理由があると思いますが、それは脇においておき、山際先生の言う落第云々の箇所を引用しましょう。
大学は単位を取らなければ卒業できないけれども、単位を取るために勉強するのは本末転倒だ。留年してでも納得できるまで勉強しようとする学生がいてもいいし、留年する学生を落第生と見放すのはよくない」。
大学で成績が良かった人社会で成功しているかというと、必ずしもそうではない。むしろ世の中で成功した人は落第生や劣等生が多い。学生には『落第しても、いいんだよ』と言いたい
別に学問をせずに落第しても良いとの発言ではないですね。学生には学問に取り組め、その結果労働力として社会に出るのが遅くなった学生を非難するなとの趣旨だと思います。

日経新聞記者の一番言いたいことは、そんな考え方で「京大の評価が下がりませんか」という質問に表れているような気がします。さらに、インタビュー記事の横に「学長vs.教職員 揺れた改革」と、国際競争力強化のために改革を進める現学長と保守的な教職員の対立があり、後者の支援を受けた次期学長で大丈夫かとうい論調の解説がなされています。

研究室の庵主も学部は京都大学であり、正直なところ、古き良き時間の京都大学に対する贔屓があります。大学を卒業してかなりの時間が経ってしまいましたが、東京(帝国)大学に対するアンチテーゼ、あるいは自由な学問の拠点としての京都大学に期待するところ大です。自虐的に言い方をすると、東大と同じ方向を向いて走っても、東大を抜き去ることは難しい、というのもあります。
「グローバル人材養成」や「国際競争力強化」という訳の分からない、何かの一つ覚えのような短絡的かつ即物的な目標に京都大学までも走るべきではなく、日経新聞と違って、山際教授に期待を持ちたいと思います。

山極教授のインタビュー記事から最後に引用。
「学生は自分の能力を自由に開花する権利がある。」
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Posted on 2014/09/25 Thu. 13:14 [edit]

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土砂災害の記憶-山梨市水口の首地蔵さん 

台風16号から変わった温帯低気圧による大雨が心配されますが、甲府ではまだ雨が降り出していないようです。

さて、お彼岸の中日だった昨日、研究室の庵主は、晴天に誘われたので、自転車を漕ぎ漕ぎ、大学の裏側にある太良ケ峠を越えて、山梨市側へ抜けるルートにチャレンジしました。出発前には甘く見ていたのですが、大学から標高差800メートルの山道を、クマ目撃注意の看板を見ながら、ひたすら峠まで登っていかなければらなず、後悔先に立たず状態になってしまいました。

無事に峠を超え、山梨市側に入ると、兄川という笛吹川の支流に沿って下るのですが、その途中、山梨市水口という集落で、首地蔵さんに出会います。

首地蔵さんの様子はコチラ↓ お体が自然石です。
地蔵さん

首地蔵さんの由緒については、次のようなものだそうです。

その昔、この地区を土砂崩れが襲い、子守をしていた十代の少女と赤ん坊がこの岩の下敷きになって亡くなったそうです。ところが、その後、村の赤ん坊たちが夜泣きをしたり、おびえたりするようになった。また、この岩の下からもすすり泣くような声が聞こえるようになった。
あるとき、ここを訪れた旅の僧が、慰霊のために地蔵の首を作り、岩の上に乗せて供養をしたものだそうです。


その後も因縁話は続くのですが、現地にお参りに行って見るか、ネットで検索してみて下さい。

兄川沿いを下っていると、土石流の危険区域に指定されており、昔から土砂災害に悩まされてきた地域だということがわかります。その記憶を永らく伝え、地区の人々を護ってくださるお地蔵様なのでしょう。

次回からはまた民法(債権関係)改正の要綱仮案の確認作業を続けたい思います。次回は日常生活に影響のある賃貸借を見てゆきます。

Posted on 2014/09/24 Wed. 18:06 [edit]

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民法(債権関係)改正の要綱仮案(6) 

ほぼ10日ぶりの更新です。
先週は、実家の用事と研究会のレジュメの準備で更新がバタバタしておりました。その間にも北海道から雪の便りが聞こえてきたり、秋は一日一日と進んでいるようです。

実家の近くの秋はコチラ↓ お彼岸に紅白の彼岸花が咲いていました。
彼岸花

さて、今日は、要綱仮案「第32 消費貸借」を取り上げたいと思います。消費貸借とは、日常生活的にはお金を借りる契約です。住宅ローンやカードキャッシングも消費貸借です(クレジットは違うので注意)。

要綱仮案では次のようになっています。

1 消費貸借の成立等(民法第587条関係)
 民法第587条に次の規律を付け加えるものとする。
 (1) 民法第587条の規定にかかわらず、書面による消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその引渡しを受けた物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
 (2) ~(4) <略>

2 消費貸借の予約(民法第589条関係)  <略>

3 準消費貸借(民法第588条関係)  <略>

4 利息
 利息について、次のような規律を設けるものとする。
 (1) 貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない。
 (2)  <略>

5 貸主の担保責任(民法第590条関係) <略>

6 期限前弁済(民法第591条第2項・第136条第2項関係)
 民法第591条第2項の規律を次のように改めるものとする。
 借主は、いつでも返還をすることができる。当事者が返還の時期を定めた場合において、借主がその時期の前に返還をしたことによって貸主に損害が生じたときは、貸主は、その損害の賠償を請求することができる。


1(1)について、現行の民法587条では、消費貸借契約の成立にあたって、「金銭その他の物」を受け取る必要があるとしていました(講学上「要物契約」といいます)。ところが、お金を貸すと約束しながら、貸さないような場合があったりすることから、判例学説では要物性のない金銭消費貸借を解釈で認めたりしてきました。今回の改正では、書面(電子メールなどを含む。以下同じ)で行われた合意であれば、契約が成立するとしました。すなわち、約束した以上、銀行がお金を貸さなかったりすると、契約違反になります。書面で融資約束をもらっていれば、民法上はすっトボケルことはできなくなります。

4(1)について、お金を貸し借りするケースで、親族や友人間では利息をとならいこともあるでしょう。一方、銀行からお金を借りると必ず利息を取られますね。
従来から、民法では無償=利子なしが原則とされ、商法では有償=利子あり(商法513条)とされ、民法では当然無償として規定が置かれていませんでした。その考え方は変わっていないのですが、その点を明確にするため、特約なければ利息が請求できないとの規定をおいたようです。ある意味、今までの取扱いを変えるということではないようです。

最後に、6について、住宅ローンなどでいう、繰り上げ返済のケースですね。
今まで、明文の規定としては、返済期限の定めのないものについて、いつでも返すことができるとされていましたが、貸主側としては返済期限までは利息がもらえる権利があるということで、貸主からの一方的な繰り上げ返済は認められていませんでした(銀行の同意があればできます)。
この改正案では、借主側の権利として、繰り上げ返済ができるようになると思われます。もちろん、貸主の損害の補てんが必要のようですが、基本は未経過利息分になると思われます(銀行側の手数料は取れなくなるか?)。

<どこまで続くか、な>

Posted on 2014/09/22 Mon. 16:49 [edit]

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民法(債権関係)改正の要綱仮案(5) 

今日の甲府は、午前中激しい雷雨になったり、晴れ間が出たりと、はっきりしない天気です。

南アルプス(芦安方面)の上空の様子はコチラ↓ 今日は珍しく夕方の風景です。
20140911風景

9月8日に法務省から、「民法(債権関係)改正の要綱仮案」が公表されました。
URLはコチラ→ http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900227.html
この記事以降は、ブログのタイトルも今日からは、「要綱仮案の案」のうち「案」がとれたものに変更します(通し番号は継続)。

さて、今日は、途中を飛ばして、「第30 売買」を見てみたいと思います。

要綱仮案・第30 売買
1 手付(民法第557条関係) <略>

2 売主の義務 <略>

3 売主の追完義務
 売主の追完義務について、次のような規律を設けるものとする。
 (1) 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、その不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、この限りでない。
 (2) <略>

4 買主の代金減額請求権
 買主の代金減額請求権について、民法第565条(同法第563条第1項の準用)の規律を次のように改めるものとする。
 (1) 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる
 (2) 次のいずれかに該当するときは、買主は、(1)の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
   ア ~ エ <略>
 (3) 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである場合において、その不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、(1)及び(2)の規定による代金の減額を請求することができない。

5 損害賠償の請求及び契約の解除 <略>

6 権利移転義務の不履行に関する売主の責任等 <略>

7 買主の権利の期間制限  <略>

8 競売における買受人の権利の特則(民法第568条第1項) <略>

9 権利を失うおそれがある場合の買主による代金支払の拒絶(民法第576条関係)  <略>

10 目的物の滅失又は損傷に関する危険の移転  <略>

11 買戻し(民法第579条ほか関係)  <略>


売買というのは、売主から買主に対し売主の有する財産権(通常は売買目的物の所有権)を買主に移転することとそれに対する代金の支払いを内容とします。ところが、買主として、売買目的物の引き渡しを受けたのち、「あれ、まあ!」ということがあります。

この「あれ、まあ!」には、思っていた商品と違ったということもありますが(民法上錯誤や詐欺という考え方で処理)、実際の取引では、目的物に損傷や腐食・腐敗・汚濁等があったり、予定された稼働をしなかったり、規格に外れていたりすることも少なくありません。また、不動産売買などでは、売買目的物に担保などの他人の権利が付着していたりする場合、数量を指示する売買などでは、数量が不足する場合もあります。法学では、前者を「物の瑕疵(かし。キズのこと)」、後者を「権利の瑕疵」といったりします。

現在の民法では560条から570条がこのような瑕疵に関する買主の救済手段を定めています。
こらの条項が定める救済方法としては、契約の解除、損害賠償、代金減額(権利の瑕疵の場合)であり、補修や代替品の納入のような追完については規定がありませんでした。企業で結んでいるような契約書では、物の瑕疵であっても、買主は売主に対し、追完の義務や代金減額(購買契約では「特別採用」などと言ったりしていました)が認められるよう特約を定めています。

今回の要綱仮案では、物の瑕疵および数量不足に対する買主の救済メニューとして、上記の追完(3)、代金減額(4)、損害賠償および契約の解除(5)を民法に定めようとするものです。企業間(B2B)取引では、上記のとおり特約があることが多く、影響を受けるものではないと思われますが、企業個人間(B2C)や個人間(C2C)の取引では救済方法が増えることになり、妥当な解決が図られることが期待されます

<お仕事なので確認作業はつづく。>

Posted on 2014/09/11 Thu. 17:19 [edit]

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民法(債権関係)改正の要綱仮案の案(4) 

今日は日曜日ですが、朝からの雨が止んだので、研究室の庵主は雑用がてら、大学に登校しています。

今日の研究室の窓からの様子↓ 青空も見えています。
20140907風景

せっかくなので、要綱試案の仮案について、少し確認作業を続けましょう。今日は、「第10 履行請求等」「第13 危険負担」です。要綱仮案の案は以下のようになっています。

要綱仮案の案
第10 履行請求権等
1 履行の不能
 履行の不能について、次のような規律を設けるものとする。
 債務の履行が契約その他の当該債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。

2 履行の強制(民法第414条関係) <略>

第13 危険負担
1 危険負担に関する規定の削除(民法第534条・第535条関係)
 民法第534条及び第535条を削除するものとする。

2 反対給付の履行拒絶(民法第536条関係)
 民法第536条の規律を次のように改めるものとする。
 (1) 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
 (2) 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。


最初に、「(履行)不能」という概念が問題になりますが、これは現行の民法に明文の規定がありませんでした。
「不能」となる場合の教科書的な事例を挙げると、建物の売買契約を結んだが、契約成立時点で既に火事でなくなっていた場合(事例①)とか、あるホールでのコンサートについて、出演契約をしたが、公演前にコンサートホールが放火で焼失した場合(事例②)などがあります。あるいは、麻薬などの禁制品の売買契約(事例③)も「不能」で説明されることがあります。これらの事例では、契約の対象物を買主に引き渡したり、役務を提供することができない(=債務の履行ができない)ため、「(履行)不能」と呼ばれていました。

かつては事例①のように契約成立前からの不能を原始的不能、事例②のように契約成立後の不能を後発的不能と分けた上、前者は契約不成立(「契約締結上の過失」の議論)、後者は誰に責があるかにより危険負担(534条~以下)と債務不履行(415条。初学者は契約違反と読み替えればよい。)が規律していると考えられてきました。しかし、現在はこの区分を重視せず、いずれも債務不履行と考えている研究者が多いようです。

今回の要綱仮案の案・第10の1は、不能でない限り、債権者は債務者に履行を請求できる(=物の売主は買主に対して物の引き渡しを請求できる。)ということを表現しているとのことです。ある意味当然なのですが、現行の民法には明文の規定がなかったので明文化しようということのようです。

第13の危険負担ですが、これは債務者の責に帰すことができない事由(天災地変、全く無関係の第三者の放火など)により契約の目的物の引き渡し等ができなかった場合のリスクの負担を決めた条文です。債務者の責に帰すことができる場合は、債務不履行で処理しますが、そうでない場合です。
危険負担に関しては、特定物(不動産とか、肉筆画とかをイメージすれば可。)の売買契約等において、債権者がリスクを負う(=物が滅失しても、代金の支払要。)という534条の削除が提案されています。この規定は債権者(通常は不動産の買主)に酷ということもあって、学説・判例がその例外を広く認める工夫を積み重ね、債権者の支配下に入るまではリスクを負わないとされており、実質的にはあまり意味のない条文になっていました。そのため、改正提案は実務的には大きな影響を与えるものではないのですが、試験に出しやすい論点の一つとなっていた箇所が減ったとはいえるでしょう。

結局今回の改正提案では、「(履行)不能」について次のような整理がされたことになります。売買契約を例にとると、原始的不能か後発的不能化を問わず、
1)売主・買主のいずれの責にも帰すことができない不能
 ⇒買主は目的物は受け取れない、代金の支払いは拒絶できる。
2)買主の責に帰すことができる不能
 ⇒買主は目的物は受け取れない、代金の支払いは必要。ただし、不能により売主が得た利益(送料や原材料費などの負担を逃れた利益など)は償還
3)売主の責に帰すことができる不能
 ⇒買主は目的物は受け取れない、買主に対し債務不履行責任を追求できる。

≪まだまだつづく≫

Posted on 2014/09/07 Sun. 14:30 [edit]

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釜無川源流域見学ツアーに行ってきました 

今日の山梨ははっきりしない天気でした。
そんな中、研究室の庵主は、同僚の先生の段取りに乗って、釜無川(富士川)の源流域の見学に行ってきました。国土交通省関東地方整備局富士川砂防事務所の方に案内して頂いたので、主として砂防や魚道などの土木工事関係の視点からの見学となりました。

源流域の様子はコチラ↓ 砂防事務所の車で行ける最上流部になります。
20140905釜無川

ここから30分ほど山を登る(写真左方向へ)と、源流があるそうです。川の右側が長野県、左側が山梨県になります。

山小屋が見えます↓ 長野県側の山を所有されている個人の別荘だそうです。
釜無川6

長野県側の山は昔製紙会社が保有しており、製紙用の植林をしていたそうです。それに対し、山梨県側の山はあまり手が入っていないように見受けられました。

地図上はコチラ↓ 赤い場所(本谷谷止工)になります。標高は1600メートルぐらいとのこと
20140905釜無川2

グーグルマップも貼り付けてみました。


見学しているうちに山から湧いてきた雲はコチラ↓ 下流方向です。この後雨に降られました。
20140905釜無川5

その後、我々見学隊は大武川に移動し、魚道見学をしました。いろいろなタイプの魚道があり、同僚の先生によると設計者の名前をつけて”○○流”と呼ぶそうです。

魚道をめぐって議論に花が咲いている様子はコチラ↓ 庵主は不案内です
20140905大武川

このあとも見学は続きましたが、別の機会に・・・

Posted on 2014/09/05 Fri. 17:52 [edit]

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民法(債権関係)改正の要綱仮案の案(3) 

資料漁り等々のため、庵主は10日以上甲府の研究室に出勤していません。新聞などが溜まっていそうで、少し心配です。

今日2日は法制審議会の民法(債権関係)部会の開催日なので、この記事のタイトルにもなっている「要綱仮案の案」の「案」の部分が取れたものが公表してくれないか期待しています。これが取れないと、校正しなければいけない原稿の引用が長くなってしまって、ちとうっとうしいからです。

さて、今回とりあげる要綱仮案の案は、「第9 法定利率」です。
法定利率というのは、利息の合意のないときに適用される利率のことですが、現行民法では年利5%、商法では年利6%となっています。実務上この法定利率が問題になるのは、損害賠償を訴求したときです。たとえば、製品の欠陥でけがをして、その賠償を求めた場合、蒙った損害の額につき、その支払いに至るまで年利5%の利息も受け取ることができます。1年かかって、訴訟で賠償金1億円の勝訴を勝ち取った場合、被告から賠償金元本1億円+利息5百万円を受け取ることができます。

現在のような低金利時代には、資金を銀行に預けるより、資力のある相手方が払ってくれていない金銭の返還を請求した法が運用効率が良くなってしまいます。庵主の前々職時代の先輩で、バブル期に流行った「財テク」ということばをもじって、「法テク」と言った人がいます。
あるいは、将来分の賠償を取得できるときに、将来分の賠償金については、金利相当分を控除することになっていますが、控除額が実勢に比べて大きくなってしまいます。

これらの問題を受け、要綱仮案の案では、次のような提案がなされました。

要綱仮案の案・第9 法定利率
1 変動制による法定利率
 民法第404条の規律を次のように改めるものとする。
 (1) 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、 当該利息が生じた最初の時点における法定利率による。
 (2) 法定利率は、年3パーセントとする。
 (3) (2)にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、3年ごと に、3年を一期として(4)の規定により変更される。
 (4) 各期の法定利率は、この(4)により法定利率に変更があった期のうち直近のもの(当該変更がない場合にあっては、改正法の施行時の期。以下この(4) において「直近変更期」という。)の基準割合と当期の基準割合との差に相当 する割合(当該割合に1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨 てる。)を直近変更期の法定利率に加算し、又は減算した割合とする。
 (5) (4)の基準割合とは、法務省令で定めるところにより、<中略>法務大臣が告示する割合をいう。
 (注)この改正に伴い、商法第514条を削除するものとする。

2 金銭債務の損害賠償額の算定に関する特則 <略>

3 中間利息控除 <略>


このように年利3%をスタートとして、今後は3年毎に1%単位で見直すことになりました。部会の議論ではもう少し細かく変動させるとの意見もあったようですが、このような案に落ち着いたようです。

法定利率は財政や金融の世界の利率とは少し違うので、この改正は日常生活に直接影響がないかもしれませんね。

つづく

Posted on 2014/09/02 Tue. 10:46 [edit]

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2014-09