大正10年の山梨日日新聞「妖怪研究」① 

梅雨時のうっというしい気候が続いています。
そんな中、大学の前期の講義も3分の2を過ぎて、いよいよラストスパートです。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 残雪もかなり少なくなっているようです。
20180622風景

さて、前回の記事では、明治9年(1876年)の山梨[ママ]日日新聞に掲載された「 アリエ 」の記事を紹介させてもらいました。その流れの中で、同じく 湯本豪一 氏の編集にかかる 『大正期怪異妖怪記事資料集成(上)』(国書刊行館、2014年) を眺めていたところ、興味のある連載を発見しました。

その連載は、山梨日日新聞大正10年(1921年)10月29日から同年12月18日にわたって連載した「 妖怪研究(一)~(三十八) 」です。

妖怪研究とは銘打っているものの、採用されているエピソード(実験談)は、ほとんど幽霊譚(死に際しての知らせも含む)であり、水木しげる 先生的な妖怪も、柳田国男 先生的な妖怪も出てきません。どんな妖怪出てくるかちょっと期待していたのですが・・・
とはいうものの、せっかくなので、リストにまとめて、以下のとおり画像を張り付けておきました。ご興味を引けば幸いです。

-------【アップ後加筆】
記事アップしてみたところ、下記のリスト画像はポップアップしないと見づらかったので、アップ後の加筆として、タイトルのみあげておきます。

(一) 幽霊は実在するか
(二) 小兒の幽霊
(三) 惨殺されし女の亡霊・・・第三者にも見ゆ
(四) 老婆の包帯姿 目撃したものが二人
(五) 死の事実を =人に告げ知らす
(六) 花魁の幽霊 =何も知らぬ人の部屋へ
(七) 横浜から甲府迄 =姉の魂が来た
(八) 納棺の姿其儘に =声迄かけて兄を呼ぶ
(九) 朝餉の仕度せる =母の傍に愛兄の姿
(十) 神憑りといふ事 =神体を盗んだ男
(十一) 水死人の知らせ =漁夫、銛が残る
(十二) 怪しき光り物と血塗れ姿(上) =日露役の戦死者
(十三) 怪しき光り物と血塗れ姿(下) =日露役の戦死者
(十四) 死人が打つ電報 =葬式後十一日目に
(十五) 夢の話(上) =愛兒の死の前に
(十六) 夢の話(下) =小松怨霊の有縁の婦人尋来る
(十七) 白昼幽霊と立話 =ほくろの数迄勘定した
(十八) 死人のお暇乞 =落合村から信州迄
(十九) 神器の祟り? =手にしたもの皆病む
      樹木の精? =斧を下せぬ相生の松
(二十) 女巡礼の呪い? =怪火に一村全滅
(二十一) 稲荷様のお使? =見慣れぬ二人の子供
(二十二) 狐の御馳走 =名医の恩に感じて
(二十三) 幽霊を見た人の話 =手をかけた刹那消ゆ
(二十四) 紫矢絣の美女 =桜井剣道教師の実験
(二十五) 死の予感 =倉田白宰氏の書簡
(二十六) 弘法大師の奇瑞? =枕許に仏像の腕・・・
(二十七) 死霊の住む家 =催眠術で少女が語る 壁に残る怪しき影
(二十八) 幽霊の添乳で成長した人 =現に生存して居る
(二十九) 夢遊病者の魂? =フワフワと舞ひ歩く
(三十) 便所の丸髷姿 =連隊士官も青くなる
(三十一) 姉の亡魂が =遠く満州まで
       愛する女中の許に =主人の死の知らせ
(三十二) 経を読む石地蔵 =大正8年中にも読んだ
(三十三) まさかと思って居た、地蔵が経を読む =養父が死の前に
(三十四) 改札口に亡き妻の姿 =最近の出来事
(三十五) 生霊の訪問 =相思の男女間にて
       神隠しに会った男 =一週間行方不明
(三十六) 魂の持って来た風呂敷包み =弟妹三人の許へ
(三十七) 霊魂の実体(一)
(三十八) 霊魂の実体(二)

発生時期や発生場所、内容の概要は、面倒でも以下のリスト画像をポップアップしてご覧ください。
【加筆おわり】-------

妖怪研究1
妖怪研究2

このあとも不定期にではありますが、この記事の中から何編か--できれば幽霊譚や神仏譚以外で--をピックアップして紹介してゆきたいと思います。

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Posted on 2018/06/22 Fri. 11:25 [edit]

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アリエ現る(1876年6月17日付け山梨日日新聞) 

研究室がある甲府も梅雨らしい天気が続いています。
暑かったり、涼しかったり、体調維持が大変です。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 雲に覆われています。
20180615風景

さて、天候不順で寝つきがいまひとつの毎日なので、寝る前にスマホ(最近ガラケーとの2台持ちでデビュー)やパソコンの画面を見ないように本を読むことにしています。最近入手して、寝る前に眺めていた 湯本豪一編『帝都妖怪新聞』(角川ソフィア、2011年) に気になる記事を見つけました。その記事にはある妖獣が登場します。

その名は、アリエ
その姿もさておき、紹介した新聞の後身が山梨県内に現在にまで続く 山梨日日新聞 ということで、興味を引いた次第です。講釈はやめにして、まずは新聞記事に掲載されたその姿から・・・

アリエ
湯本2011・88頁より

どうでしょう。

さらに、掲載された山梨日日新聞の記事を紹介しておきたいと思います。
この記事は、今から140年ほど前、明治9年(1876年)6月17日に掲載されたものなので、原文は旧字体、歴史的仮名遣い、変体仮名、句読点なしで、普通には読みにくいものとなっています。できるだけ原文の風情を失わないように、現代語表記とのみしたものを載せておきます。

妖言の起るは未開の国の徴にて実に困った習慣ではござりませんか。多分虚妄な説なことと又変な事がはやりだしそうゆえ、笑い種に図を入れましょう。
肥後の国青島郡の海にこんな可笑しなものが居て、夜にさえなれば、往来へ出て、ピカピカ鱗を光らせ歩くゆえ、見る人々は吃驚し、青くなって、逃げ出すと。この魍魎はとかく娑婆の人を恋しがる体にて通るものを呼びよすれど、誰ひとりよりつくものなく、遂いかの路をば行く人の絶えたとか。大評判せし折から、さすが剛気な旧熊本藩の柴田某なるものがこの様子を聞き伝え、いざ正体を見届けてくれんと、ある夜同所へ出掛け、遅し遅しと待ちかねしうち、彼奴はまた例の通り鱗を光らして来るを見て、コリャ待て、妖怪めと咎めたるに、彼奴は柴田某に向かい、我こそは海中鱗獣の首魁にて、名は「アリエ」と唱えたり。かつて年の吉凶を洞観の妙術あれば、告げ示さんとすれど、身共が姿のありようを見て、語らいたまう。入のなくよるべなき折から、かたじけなくも御辺に逢いつるこそ幸い、日ごろの胸を語り参らせん。当年より6ヶ年の間豊年打ち続くべし、されど当6月より先年流行せしコロリの如き病気流行して、世の人六分通り死失べし、よくこの災難を避けんには、身共が姿容を図しおいて、朝な夕な信心したまいかし云いおわり、ドロンドロンと海中に踊り入りて影さえ見えず。某はハテなと眺むれば、夜は暗し、いとも海風の腥きを覚えたるのみとぞ。
それよりしてはなしが広まり、該地のものは、サアこの図を絵いて、各戸にはりつけ、稼業もすてて信心せるとかいう事を出雲の国の船頭が新潟県にて物語りたるよし。いづもの人か知らないが余り人を茶にした話ではありませんか。お布告や註違書などのめいめい心掛けねばならることは、馬耳は風にして、こんな馬鹿げたことだと誰れ頼まぬに裏店小店までも我先にと貼立て騒ぐとは、何というもんだろう。この妖怪の話も何分ほんとうとは思えません。みなさん決して図を張るにも、信心するにも及ぶまいと云わんとすれば、もはや当県の市在でもチラリホラリ張りつけてあるとのよし困ったものだ。

記事出典:湯本豪一編『明治期怪異妖怪記事資料集成』(国書刊行館、2009年)19頁



当県は山梨県ですね。当時の文明開化、啓蒙主義の立場からもアリエの図を張ることに批判的です。
上記の記事の翌日に、ほぼ似たような記事が 長野新聞 に掲載されています。そこでの名前は、尼彦 とか 尼彦入道 とか言われています。その姿は、こんな感じです。

尼彦
湯本2011・88頁より

長野新聞では、同年6月30日にも記事を載せ、甲府日日新聞(この記事では、山梨日日新聞ではなく、甲府日日新聞としています。甲府日日の方が正しいようですが、裏取りはできていません。)と自紙の記事と同じものだとしつつ、出現地とされる肥後の国青島郡(山梨日日)も青沼郡(長野新聞)も実在せず、作り話の証拠の一つとしています。

アリエは140年が経った今ても、一部の人々の心をとらえているようで、東京の新大久保にはアリエを店名とキャラに採用したカフェも存在します。
カフェ・アリエのURL  http://cafearie.com/

果たして熊本県の海には今でもアリエはいるのかしらん。


Posted on 2018/06/15 Fri. 10:28 [edit]

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この週末の甲府は「信玄公祭り」 

今週末の甲府は、信玄公祭り という春のイベントが開催中のようです。
研究室の庵主は、昨日締め切りだった論文の原稿をバタバタと書いてこともあって、このお祭りに興味がありません。

記事の更新が空くのを避けるため、お茶濁しとして、甲府駅北口の特設ステージの写真をアップしておきます。特に感想とかコメントはありません。

ステージ上の 名も知らぬゆるキャラたち の様子はコチラ↓ SNSネタレベルですね。 
20180407風景

山梨もいよいよ観光シーズンです。


Posted on 2018/04/07 Sat. 16:59 [edit]

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田中貢太郎の採集奇談 

今日で後期の業務は、前期・後期の個別入試と関連業務を除いて、山を越えました。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 雲がかかっていました。
20180216

たまたま読んでいた 田中貢太郎『日本怪談実話<全>』 (河出書房新社、2017)272-273頁 に、甲府の話が出ていたので、庵主の備忘を兼ねて紹介させていただきます。なお、筆者の田中貢太郎とは、大正期に活躍した作家で、最近では文芸の一分野にもなっている実話系怪談も書いています。この本の原著も、1937年に出版された同氏の 『新怪談集(実話篇)』(改造社) をもとにしているとのことです。

では、さっそく・・・

「鉄道線路を走る少年」
 大正十一年七月二十二日の事であった。甲府市外相川村*の相沢栄吉の長男富雄は、その時十一で相川小学校*の三年生であったが、その日の午前中、太郎と云う友達と二人で連隊*付近の山へ花摘みに往ったが、午過ぎになって太郎は帰って来たが、富雄は帰って来なかった。
 富雄の家では心配して、太郎に訊いてみると、山へ往って遊んでいると、睡くなってぼうっとしているうちに、富雄がいなくなったので、独りで帰って来たと云った。
 相沢家では驚いて、村の人を頼んで山の中を捜していると、六時比になって、長野県西筑摩郡日義村*から、富雄君を保護しているから伴れに来いと云う電報が来た。相川村から日義村まで約三十里あるので、相沢家では不審に思ったが、富雄がいると云うので早速父親の栄吉が迎えに往った。
 富雄を保護してくれていた者は、元日義村の助役であった清沢と云う人であったが、その話によると、午後六時比、同村宮越付近の鉄道線路*を、阿父さん阿父さんと云って泣きながら、藪原*の方へ走って往く少年があるので、呼び止めて訊いてみると、相川村の者だと云うし、穿いている麻裏の緒に、相沢富雄と書いてあるので、ともかくも日義村の小学校長の許へ伴れて往って、学校の眺望台に立たせて、どっちの方角から来たと云えば、山の方へ指をさして、あの山からだと云った。学校はと問えば、師範学校附属小学校*、校長はと問えば、浜幸次郎*と答えた後で、家はこの近所だから線路を伝って往けば、帰れるだろうと云って、そのまま駆け出そうとするので、引き留めておいて電報を打ったとの事であったが、それにしても一銭の金も持っていないので、汽車には乗れないし、元より子供の足で三十里を半日で歩けるものでない。それには現代の常識では判らない何事かがあったように思われる。


*相川村:1937年に甲府市と合併。古府中町、上・下の積翠寺町、塚原町などの付近。
*相川小学校:甲府市古府中町にある甲府市立相川小学校の前身か?


*連隊:甲府にあった甲府四十九連隊のこと。現在の国立甲府病院、山梨大学付属小学校あたりに駐屯地があった。
*日義村:現在の木曽郡木曽町の一部。
*宮越付近の鉄道線路:中央西線のことと思われる。現在も宮ノ越駅という駅がある。


*藪原:木曽郡木祖村に薮原駅がある。宮ノ越駅と奈良井駅の間。宮ノ越駅からみると一応は甲府方面
*師範学校附属小学校:大正11年なら山梨県師範学校の附属小学校(現在の山梨大学付属小学校)。本文の最初で相川小学校といっていたことと矛盾。
*浜幸次郎:1915年から1919年まで山梨県師範学校長を務めていたようだが、詳細要調査。

田中貢太郎

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おまけ 宮ノ越駅付近の集落方面(2018年2月21日に列車内から撮影)
20180221宮ノ越


Posted on 2018/02/16 Fri. 23:45 [edit]

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本日は甲府市湯村の塩澤寺でご奉仕 

寒い日が続きます。
研究室ある甲府はほとんど雪は積もらないのですが、大雪でご苦労されている地方の方々にはお見舞い申し上げます。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 3000m峰は雲の中です。
20180213風景

研究室の庵主は、1月末からいろいろと忙しく、ながらくまとまった更新ができていません。
たまに更新しないと公告が上がってい来るので、簡単な記事で更新させてもらいます。

忙しいと言いながら、今日は地域貢献のため、甲府市湯村にある 塩澤寺 の「 厄除地蔵尊大祭 」に半日ご奉仕に出ます。

塩澤寺ウエブサイトによる紹介はコチラ↓ 最近新しくなったようです。
http://www.entakuji.jp/taisai.html

去年までは2日間のご奉仕だったのですが、今年は忙しいということで1日だけのご奉仕になります。
このお祭りが過ぎると甲府にも春が訪れるそうです。


Posted on 2018/02/13 Tue. 08:47 [edit]

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