アリエ現る(1876年6月17日付け山梨日日新聞) 

研究室がある甲府も梅雨らしい天気が続いています。
暑かったり、涼しかったり、体調維持が大変です。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 雲に覆われています。
20180615風景

さて、天候不順で寝つきがいまひとつの毎日なので、寝る前にスマホ(最近ガラケーとの2台持ちでデビュー)やパソコンの画面を見ないように本を読むことにしています。最近入手して、寝る前に眺めていた 湯本豪一編『帝都妖怪新聞』(角川ソフィア、2011年) に気になる記事を見つけました。

その名は、アリエ
その姿もさておき、紹介した新聞の後身が山梨県内に現在にまで続く 山梨日日新聞 ということで、興味を引いた次第です。講釈はやめにして、まずは新聞記事に掲載されたその姿から・・・

アリエ
湯本2011・88頁より

どうでしょう。

さらに、掲載された山梨日日新聞の記事を紹介しておきたいと思います。
この記事は、今から140年ほど前、明治9年(1876年)6月17日に掲載されたものなので、原文は旧字体、歴史的仮名遣い、変体仮名、句読点なしで、普通には読みにくいものとなっています。できるだけ原文の風情を失わないように、現代語表記とのみしたものを載せておきます。

妖言の起るは未開の国の徴にて実に困った習慣ではござりませんか。多分虚妄な説なことと又変な事がはやりだしそうゆえ、笑い種に図を入れましょう。
肥後の国青島郡の海にこんな可笑しなものが居て、夜にさえなれば、往来へ出て、ピカピカ鱗を光らせ歩くゆえ、見る人々は吃驚し、青くなって、逃げ出すと。この魍魎はとかく娑婆の人を恋しがる体にて通るものを呼びよすれど、誰ひとりよりつくものなく、遂いかの路をば行く人の絶えたとか。大評判せし折から、さすが剛気な旧熊本藩の柴田某なるものがこの様子を聞き伝え、いざ正体を見届けてくれんと、ある夜同所へ出掛け、遅し遅しと待ちかねしうち、彼奴はまた例の通り鱗を光らして来るを見て、コリャ待て、妖怪めと咎めたるに、彼奴は柴田某に向かい、我こそは海中鱗獣の首魁にて、名は「アリエ」と唱えたり。かつて年の吉凶を洞観の妙術あれば、告げ示さんとすれど、身共が姿のありようを見て、語らいたまう。入のなくよるべなき折から、かたじけなくも御辺に逢いつるこそ幸い、日ごろの胸を語り参らせん。当年より6ヶ年の間豊年打ち続くべし、されど当6月より先年流行せしコロリの如き病気流行して、世の人六分通り死失べし、よくこの災難を避けんには、身共が姿容を図しおいて、朝な夕な信心したまいかし云いおわり、ドロンドロンと海中に踊り入りて影さえ見えず。某はハテなと眺むれば、夜は暗し、いとも海風の腥きを覚えたるのみとぞ。
それよりしてはなしが広まり、該地のものは、サアこの図を絵いて、各戸にはりつけ、稼業もすてて信心せるとかいう事を出雲の国の船頭が新潟県にて物語りたるよし。いづもの人か知らないが余り人を茶にした話ではありませんか。お布告や註違書などのめいめい心掛けねばならることは、馬耳は風にして、こんな馬鹿げたことだと誰れ頼まぬに裏店小店までも我先にと貼立て騒ぐとは、何というもんだろう。この妖怪の話も何分ほんとうとは思えません。みなさん決して図を張るにも、信心するにも及ぶまいと云わんとすれば、もはや当県の市在でもチラリホラリ張りつけてあるとのよし困ったものだ。

記事出典:湯本豪一編『明治期怪異妖怪記事資料集成』(国書刊行館、2009年)19頁



当県は山梨県ですね。当時の文明開化、啓蒙主義の立場からもアリエの図を張ることに批判的です。
上記の記事の翌日に、ほぼ似たような記事が 長野新聞 に掲載されています。そこでの名前は、尼彦 とか 尼彦入道 とか言われています。その姿は、こんな感じです。

尼彦
湯本2011・88頁より

長野新聞では、同年6月30日にも記事を載せ、甲府日日新聞(この記事では、山梨日日新聞ではなく、甲府日日新聞としています。甲府日日の方が正しいようですが、裏取りはできていません。)と自紙の記事と同じものだとしつつ、出現地とされる肥後の国青島郡(山梨日日)も青沼郡(長野新聞)も実在せず、作り話の証拠の一つとしています。

アリエは140年が経った今ても、一部の人々の心をとらえているようで、東京の新大久保にはアリエを店名とキャラに採用したカフェも存在します。
カフェ・アリエのURL  http://cafearie.com/

果たして熊本県の海には今でもアリエはいるのかしらん。


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Posted on 2018/06/15 Fri. 10:28 [edit]

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甲府ねこ(重複御免)-通番36号 

甲府も30度超えて、暑いニャー
やっぱ日陰はいいニャー
邪魔しないでニャー

ノラ36号


Posted on 2018/06/03 Sun. 15:14 [edit]

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甲府ねこ(重複御免)-通番35号 

ニャらニャら、文句あんのかよ~

ノラ35号


Posted on 2018/05/22 Tue. 18:03 [edit]

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甲府ねこ(重複御免)-通番34号 

何見てんだニャ~。

ノラ34号


Posted on 2018/05/17 Thu. 17:44 [edit]

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家族法メモ-犬神佐兵衛翁の遺言(3完)  

ゴールデンウイークをはさんだりして、更新が滞っておりました。
土曜日になって少し時間の余裕ができたので、更新しておきたいと思います。

今朝の南アルプスの様子はコチラ↓ 3000メートル級の山頂はまだ冠雪しています。
20180512風景

さて、間があいてしまいましたが、犬神佐兵衛翁の遺言について、最後の問題点をメモっておきたいとおもいます。

ポイントは、事件の設定が昭和20年代前半(1940年代後半)に設定されていることにあります。
家族法に関して言うと、この時期は戦前までの旧制度から日本国憲法下の現行制度への改正時期にあたり、どちらの法律が適用されるかが問題となります。

ところで、映画版では 昭和22年2月(1947年)から10月 にかけてと考えられる描写があります。これに対して、原作では、犬神佐兵衛翁の死亡、すなわち相続総則開始時期は「 昭和二十×年二月 」 とされていて、年が伏字になっています。一方、探偵小説には多くの研究家がいるのですが、金田一耕助についても例外ではありません。それらの書籍の一部やウエブサイトで公表されている成果をみると、この事件は 昭和24年(1949年)説が有力 のようです。

この有力説に立つと、佐兵衛翁の死亡時には現行の家族法が施行されていて、家督相続制度などは廃止されていることになります。そうすると、佐兵衛翁の遺産の法定相続人は、下図のとおりです。

犬神相続関係図

松子・竹子・梅子は佐兵衛翁と親子関係があり(原作に明記されていないが、認知がされていると思われる)、法定相続人となります。また、竹子の夫寅之助と梅子の夫幸吉は婿養子(民法旧839条但書)であるされており、佐兵衛翁の嫡出子として身分を取得し(民法887条、民法旧860条)、法定相続人です。さらに、佐清は婿養子であった松子の夫の相続権を代襲しており(民法現行887条2項)、法定相続人なります。

一方、野々宮祝子と青沼静馬は佐兵衛翁の実子ですが、佐兵衛翁との間に法律上の親子関係はないので、祝子(およびその代襲者である珠世)と静馬が法定相続人になることはありません。

佐兵衛翁の遺言を窪田先生の解説のとおり(前回の記事参照 http://nashidaina414.blog.fc2.com/blog-entry-352.html )、包括遺贈であるとすると、松子・竹子・梅子・寅之助・幸吉・助清の6人は、それぞれ遺産の12分の1づつを遺留分として、遺留分減殺請求権を有しています(民法1028条)。この権利を行使すれば、仮に野々宮珠世に全財産が贈られたとしても、遺留分の範囲で遺産の分け前を確保ができます。

家業の承継は一括承継が重要であって、お菓子を分けるようにはいかないのでしょう。遺留分があるとかないとかは、犬神家の惨劇を防ぐことはできなかったのでしょう。

Posted on 2018/05/12 Sat. 12:02 [edit]

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甲府ねこ(重複御免)-通番33号 

何がいるのかニャ ???

ノラ32号


Posted on 2018/04/24 Tue. 16:56 [edit]

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この週末の甲府は「信玄公祭り」 

今週末の甲府は、信玄公祭り という春のイベントが開催中のようです。
研究室の庵主は、昨日締め切りだった論文の原稿をバタバタと書いてこともあって、このお祭りに興味がありません。

記事の更新が空くのを避けるため、お茶濁しとして、甲府駅北口の特設ステージの写真をアップしておきます。特に感想とかコメントはありません。

ステージ上の 名も知らぬゆるキャラたち の様子はコチラ↓ SNSネタレベルですね。 
20180407風景

山梨もいよいよ観光シーズンです。


Posted on 2018/04/07 Sat. 16:59 [edit]

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